講演情報

[15政-口-07]競技者アイデンティティと実力発揮度の関連大学生アスリートにおける競技レベル別の検討

*島津 頼夢1、中村 美幸2、川田 裕次郎1,2,3、髙澤 祐治1,2,3、室伏 由佳1,2 (1. 順天堂大学スポーツ科学研究科、2. 順天堂大学スポーツ健康科学部、3. 順天堂大学スポーツ健康医科学研究所)
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背景
近年、タレント発掘や競技者育成において、教師や指導者の支援の在り方が国際的に検討され、学業と競技の両立に関わる心理的特性として、アイデンティティの重要性が示されている。青年期後期に達した大学生では、学業及び競技のアイデンティティが一定程度形成されており、こうした自己認識と競技における実力発揮度との関係を競技レベル別に明らかにすることは将来的な育成支援への示唆となる。
目的
大学生アスリートを対象に、学業及び競技アイデンティティと自身の競技における実力発揮度との関連を明らかにすること。
方法
スポーツ系の学部に所属する大学生アスリート(全国レベル未満:202名、全国レベル以上:208名)を対象とした。調査項目は、性別、競技種目等の属性情報に加え、日本語版学生競技者アイデンティティ尺度(AAIS-J;学業・競技アイデンティティの2因子)と現在の競技種目に関する実力発揮度(「1全くできていない」~「6とてもできている」)を含む。分析には、AAIS-J各因子と実力発揮度との間のピアソンの積率相関係数を競技レベル別に算出した。
結果
全国レベル以上群において、学業アイデンティティ(r = .322, p < .001)は実力発揮度との間に中程度、同様に競技アイデンティティ(r = .231, p < .001)との間に相関を示した。全国レベル未満群では、有意な相関ではあったが、いずれも弱かった(r = .140, p = .048;r = .203, p = .004)。
考察・結論
全国レベル以上のアスリートは、全国レベル未満と異なる傾向を示し、学業アイデンティティが実力発揮度と中程度の相関を示した。この結果は、全国レベル以上のアスリートにおいて、学業アイデンティティが実力発揮に貢献している可能性を示唆する。この知見は、タレント発掘や競技者育成の初期のフェーズから学業アイデンティティに着目した支援の導入を検討することに資する。

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