講演情報

[13ア-口-08]我が国の障害者スポーツの施策の変遷2020東京大会を中心に

*藤田 紀昭1 (1. 日本福祉大学)
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本研究発表では東京2020パラリンピック開催決定前後から今日までの障害者スポーツに関わる国の施策の変遷と予算の推移をたどる。この間の政策は東京パラリンピックが開催されなければ起こりえなかったであろう。しかしながらこれらはパラリンピック大会開催のみによるレガシーというよりは、スポーツ基本法の制定を起点とした障害者スポーツ推進の流れを東京パラリンピックの開催が強く後押しした結果と理解すべきである。
 スポーツ基本法制定前、我が国の障害者スポーツ振興は厚生労働省によって担われていた。障害者基本法の第25条において障害者スポーツは障害者の生活の質的向上や社会参加を促進する事業として位置づけられていた。障害者スポーツの普及や強化とは異なる目的であった。つまり、障害者スポーツは社会参加のための手段であって、障害者スポーツの普及や選手を強化するための大義はないため、オリンピックスポーツとの一体的な施策展開や予算措置を講ずることはできなかった。
 2016年のオリンピック・パラリンピック招致を機にスポーツ基本法の制定の機運が高まった。しかし、2009年、東京承知は失敗に終わる。2年後の2011年にそれまでのスポーツ推進のよりどころであったスポーツ振興法を全面改正したスポーツ基本法が制定された。障害者スポーツの普及と強化の法的根拠となり、障害者スポーツの推進は大きく進むことになる。
 2012年にスポーツ基本計画が発表され、2013年に東京大会招致が決定する。2014年には障害者スポーツの管轄がリハビリテーション関連を除き、文科省に移管される。翌2015年にスポーツ庁が創設された。本発表ではこの間の国の障害者スポーツ施策の変遷と障害者スポーツ関連予算の推移(2014年~2024年)について明らかにし、2016年の招致失敗が我が国の障害者スポーツ推進にとって追い風になった可能性について述べる。

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