講演情報

[04生-口-08]大学男子柔道選手における減量が動脈スティフネスに及ぼす影響

*小芝 裕也1、前島 悦子1 (1. 大阪体育大学)
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【目的】柔道は体重階級制の競技であり、選手は競技上の優位性を得るために減量を行うことが多い。しかし、減量はパフォーマンスの低下だけでなく、免疫機能の低下、活力の低下など、心身の健康にも悪影響を及ぼすことが報告されている。しかし、減量が心血管機能、特に動脈スティフネスに及ぼす影響については十分に検討されていない。本研究は、大学男子柔道選手を対象に、減量が動脈スティフネスに及ぼす影響を検討した。【方法】対象は、公式計量に向けて減量を実施する大学男子柔道選手21名(年齢20.3 ± 0.9歳)とした。本研究では、体組成の測定にInBody 270を用い、体重、体格指数(BMI)、体脂肪率、体水分量を評価した。また、血圧脈波伝播装置HBP-8000を使用して、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍、および上腕-足首脈波伝播速度(baPWV)を測定した。測定タイミングは、減量前(Baseline)と試合前日(Weigh-In Day)の2時点で実施した。【結果】対象者の体重減少量は4.3 ± 2.8kgであり、減量率は6.3 ± 4.4%、減量期間は14.6 ± 9.1日であった。Baselineに比較してWeigh-In Dayは、BMI、体脂肪率、体水分量が有意に減少した(p < .05)。また、脈拍は有意に増加したが(p < .05)、収縮期血圧および拡張期血圧には有意な変化が認められなかった。一方で、baPWVは有意に増加し(p < .05)た。さらに、回帰分析の結果、体水分量減少率が大きいほどbaPWV増加率も高かった(β = 0.613, r2 = .376, p < .05)。【結論】本研究の結果から、減量とりわけ体水分量の減少が大学男子柔道選手の動脈スティフネスを増加させる可能性が示唆された。今後、長期的な減量の反復が血管機能に与える影響を縦断的に評価し、安全かつ効果的な減量方法を確立することが必要であると考えられた。

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