講演情報
[05バ-ポ-13]100mの加速局面における上肢の疾走動態
*中橋 侑敬1 (1. 新潟大学大学院)
陸上競技100mにおいて高パフォーマンスを達成するには、高い疾走速度を獲得する必要があり、それはピッチ(歩数)とストライド(歩幅)の積で決定される。100mは加速局面、最高速度局面、減速局面の3つに分けられ、加速局面において、30m通過タイムと100mタイムの間に正の相関が報告されており、重要性が示されている。加速局面では下肢の動作が多く研究されているが、疾走動作には腕振りも関与する。腕振りは疾走速度やピッチ、ストライドに影響を与えるとされるが、加速局面での役割は十分に解明されていない。本研究は加速局面での腕振りの動作解析を行い、パフォーマンス向上への知見を提供することを目的とした。研究対象者は、大学陸上部に所属している男子短距離選手8名とした。試技は、100m走を実施した。その試技の0~30mを撮影出来るように10mごとにハイスピードカメラ(240fps)を1台ずつ走路に対して右側に設置し、撮影した。得られた映像をもとに、疾走速度、ピッチ、ストライドと2次元4点実長換算法によって、身体に貼付したマーカーから2次元座標値を算出した。得られた2次元座標値から、肩関節、肘関節、股関節の角度、角速度、角加速度を算出し、これらのキネマティクスデータの変化と疾走速度、ピッチ、ストライドの変化の関係性を分析した。その結果、腕振りのキネマティクスデータの中で、疾走速度、ピッチ、ストライドを向上させる可能性がある項目を明らかに出来なかった。この結果から、腕振りにおける角度、角速度、角加速度が100mのパフォーマンスを向上させる要因であるとはいえないことが示唆された。
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