講演情報
[04生-ポ-05]暑熱下運動中におけるペルチェ素子による頸部冷却の有用性の検討
*内藤 貴司1 (1. 北海学園大学)
本研究は、暑熱環境下における運動中のペルチェ素子を用いたネッククーラー(頸部冷却)の生理学的および主観的感覚への影響を検討することを目的とした。健常男性8名を対象に、①頸部冷却なし(CON試行)と②頸部冷却あり(COOL試行)のランダム化比較試験を実施し、自転車エルゴメーターによる45分間の運動を行った。運動中の直腸温、鼓膜温、平均皮膚温、心拍数、温熱感覚、温熱不快感、主観的運動強度、全身反応時間を評価した。結果として、COOL試行では頸部の皮膚温が運動開始5分後以降で有意に低下したが、直腸温や鼓膜温、心拍数には有意な差が認められなかった。一方、温熱感覚は運動開始から20分目まで有意に改善されたが、それ以降の差はなかった。温熱不快感や主観的運動強度、全身反応時間にも有意な差は認められなかった。これらの結果から、ペルチェ素子による頸部冷却は短時間の温熱感覚改善には有効であるものの、深部体温の抑制には限界があることが示唆された。暑熱障害の予防には、より広範囲の身体冷却を組み合わせる必要があると考えられる。
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