講演情報
[05バ-ポ-06]ウォーキング時の香り呈示が歩容・時間知覚・生理的反応に与える影響レモン香料とペパーミント香料のケーススタディ
*遠藤 慎也1、吉川 叡史2、伊藤 兼敏3、高橋 芳梨3、西垣 景太1,2 (1. 東海大学 健康学部、2. 東海大学大学院 健康学研究科、3. 高砂香料工業株式会社 研究開発本部)
本研究では、レモンおよびペパーミント香料が歩容、時間知覚、主観的評価および生理応答に与える影響を検討した。被験者は健康な大学生10名(男女各5名、平均年齢21.0歳)とし、無香(コントロール)、レモン香料、ペパーミント香料の3条件にてランダム化クロスオーバー試験を実施した。香料は高砂香料工業株式会社より提供され、各香料を0.2g賦香した綿球をフェイスシールドに貼付し、運動前から運動終了30分後まで着用させた。運動は20分間の自由歩行とし、歩行速度は「息が弾む程度」となるよう被験者が任意に設定し、3条件間で同等の歩行速度が確保されるよう試技を繰り返した。各条件の運動前、運動開始後5、10、15、20分、運動終了後5、15、30分において、香りの強さ(VAS)、主観的運動強度、心拍数、血中乳酸濃度、唾液アミラーゼを測定した。時間知覚については、運動前と運動開始後15分にて、被験者に任意で60秒間をカウントさせ、60秒が経過したと感じた時点で口頭にて申告させた。加えて、5分おきに歩行中の動作を30秒間撮影し、歩行分析ソフトを用いてストライド長、足部の着地・離地角度を算出した。統計解析は時系列変化に対する分散分析および各条件下での相関分析を行った。
その結果、全ての項目において時系列の変化に条件間の差異は認められなかった。各項目の関連性を検討するため条件別に相関分析を行った結果、レモン条件においてのみ運動前と運動中の時間知覚の差と運動終了時の心拍数との間に有意な正の相関が認められた(r = .78)。このことから、ウォーキング時のレモン香料呈示条件下では、心拍数が低いほど、より時間知覚は短縮され、実際の時間との誤差を縮小した可能性が考えられた。本研究の結果より、ウォーキング時の嗅覚刺激は歩容には影響しないが、時間知覚や生理的応答に影響を及ぼすクロスモーダル効果の可能性が示唆された。
その結果、全ての項目において時系列の変化に条件間の差異は認められなかった。各項目の関連性を検討するため条件別に相関分析を行った結果、レモン条件においてのみ運動前と運動中の時間知覚の差と運動終了時の心拍数との間に有意な正の相関が認められた(r = .78)。このことから、ウォーキング時のレモン香料呈示条件下では、心拍数が低いほど、より時間知覚は短縮され、実際の時間との誤差を縮小した可能性が考えられた。本研究の結果より、ウォーキング時の嗅覚刺激は歩容には影響しないが、時間知覚や生理的応答に影響を及ぼすクロスモーダル効果の可能性が示唆された。
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