講演情報

[05バ-ポ-14]走幅跳におけるテイクオフゾーンの導入が助走、踏み切り動作に与える影響

*木戸 陽介1、北村 瑞望1、小林 史明1、大塚 光雄1 (1. 日本体育大学)
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走幅跳の現行のルール(以下,現行ルール)では,踏み切り線を超えた無効試技をする選手が多い背景から,近年,決められた区間であればどこで踏み切っても有効試技となるテイクオフゾーンを設ける新しいルールがワールドアスレティクスにて検討されている.本研究の目的は,走幅跳においてテイクオフゾーンを導入したルール(以下,検討ルール)が,助走、踏み切り動作に与える影響を明らかにすることであった.被験者は,走幅跳または三段跳を専門種目とする男子大学生10名であった.測定試技は,現行のルール下,検討ルール下での走幅跳をそれぞれ3回ずつ実施した.検討ルールでは,従来の踏み切り板を中心に前後1.25m(全長2.5m)のテイクオフゾーンを設け,被験者に対してそのゾーン内であればどこで踏み切ってもよいと指示し,踏み切り足のつま先位置から着地点までの有効跳躍距離を跳躍パフォーマンスとして評価した.各ルール下で最も有効跳躍距離が高かった試技を動作分析の対象とした.2台のハイスピードカメラを用いて助走の後半局面、踏み切り局面を撮影し,OpenPoseで身体部分の座標位置を取得し,MATLABにて動作解析を行った.その結果,検討ルール下での有効跳躍距離(6.41±0.28m)と現行ルール下での値(6.43± 0.22m)との間で有意な差はないことが明らかとなった.一方,検討ルール下での助走最後の一歩のストライド長(2.19± 0.17m)は,従来ルール下での値(2.08± 0.20m)よりも有意に長かった.しかし,検討ルール下での最大助走速度, 踏み切り離地時の重心水平速度, 踏み切り角度と現行ルール下での値との間で有意な差はみられなかった.本研究の成果は,今後の走り幅跳のルール改正に向けた科学的資料として有用であり,特に無効試技を減少するという点で,検討ルールを導入する意義が期待された.

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