講演情報
[11教-ポ-34]授業実践に対する女性中学校保健体育教師の役割認識役割理論の視点から初任期に着目して
*松永 彩希1、川下 将史2、辻 翔吾2、齊藤 一彦3 (1. 広島大学大学院人間社会科学研究科博士課程前期、2. 広島大学大学院人間社会科学研究科博士課程後期、3. 広島大学)
保健体育教師は男性的な役割が期待されており(井谷,2009)、そのような教師集団に属する女性保健体育教師は固有の葛藤を抱えている可能性がある。本研究では、女性中学校保健体育教師が、授業実践における自分自身の役割をどのように認識しているのかを、初任期に着目して明らかにすることを目的とした。中学校に勤務する初任期(教職経験年数1年)の女性保健体育教師3名を対象者に、オンライン形式での半構造化インタビューを行った。インタビューガイドは、役割理論(三隅,2005)を枠組みとして独自に作成したものを用いた。得られた質的データについては、Step for Cording and Theorization(大谷,2007)を用いて分析を行った。分析の結果、初任期の女性中学校保健体育教師は、学校方針で掲げられている授業を実践する教師という役割を果たそうとする中で、教師個人として理想とする授業実践が優先できていないという葛藤を抱くことが明らかとなった。それに対し、自身の置かれた環境に応じるべきであるという考えから、周囲から要求される役割をポジティブに捉えて授業実践を行っている。加えて、調整可能な部分に関しては、各教師のやりがいとなる生徒の成長を企図した授業実践を行っていることが示唆された。しかし、理想とする授業実践を行うにあたり、自身の力不足や未熟さを実感していることも確認された。教師の語りには共通して、体育授業や授業規律に関するエピソードが多く現れたことから、女性中学校教師における指導上の悩みが多いことや指導に自信が持てていないこと(田村・石隈,2001)が反映されている部分である可能性が考えられる。今後、女性保健体育教師がどのような役割を期待されているのかという周囲の認識についても調査を進め、固有の葛藤がどのように生起、形成されているのかを包括的に明らかにしていく必要があるだろう。
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