講演情報
[11教-ポ-36]「文検」體操科における体育教師専門性形成の構造試験委員・試験問題・受験者の三者分析から
*栗原 武志1 (1. 熊本学園大学)
本研究は、戦前日本の中等教員検定制度「文検」體操科を対象に、試験委員の教育理念、試験内容の特徴、受験者の志向や学習実践がどのように結びつき、体育教師としての専門性を形づくっていたのかを制度史的観点から明らかにすることを目的とする。近年、教員志望者の減少や専門性確保の困難が指摘されるなか、歴史的制度の検討は現代の教員養成を再考する上で重要な視点を提供する。
本研究では、『文検世界』を中心とする受験雑誌、試験委員の著述・談話、試験問題および中等體操に関する資料を収集し、①試験委員の教育観、②試験問題の構造、③受験者の動機・学習・キャリアの三側面について質的内容分析を行った。分析の結果、試験委員は體操科教育の理念や教授者としての態度を重視し、教授内容の体系的把握や教育的視点を不可欠な要素として位置づけていたことが確認された。筆記・実技・口述試験には委員の教育観が反映され、技能の巧拙だけでなく、授業構成力、説明の明瞭さ、指導姿勢など、教員としての総合的資質が問われていた。
一方、受験者は中等学校教員への転身を志向し、講習会への参加、過去問題の活用、委員講義の聴講、実技の鍛錬など、多様な方法で学習を積み重ねていた。受験記からは、専門性向上への強い意欲や教育者としての成長を求める姿勢が読み取れ、試験制度が受験者の学習行動を方向づけていたことが示唆される。
以上の検討から、「文検」體操科は、国家的教育方針、試験制度、受験者の学習実践が相互に作用しながら、体育教師の専門性を制度的に形成・方向づける仕組みとして機能していたことが明らかとなった。本研究は、体育教師の専門性が歴史的にどのように構築されてきたかを理解するうえで基礎的知見を提供し、現代の教員養成制度における専門性保証を検討する際の視野を広げるものである。(本研究は JSPS科研費21K11539の助成を受けたものです。)
本研究では、『文検世界』を中心とする受験雑誌、試験委員の著述・談話、試験問題および中等體操に関する資料を収集し、①試験委員の教育観、②試験問題の構造、③受験者の動機・学習・キャリアの三側面について質的内容分析を行った。分析の結果、試験委員は體操科教育の理念や教授者としての態度を重視し、教授内容の体系的把握や教育的視点を不可欠な要素として位置づけていたことが確認された。筆記・実技・口述試験には委員の教育観が反映され、技能の巧拙だけでなく、授業構成力、説明の明瞭さ、指導姿勢など、教員としての総合的資質が問われていた。
一方、受験者は中等学校教員への転身を志向し、講習会への参加、過去問題の活用、委員講義の聴講、実技の鍛錬など、多様な方法で学習を積み重ねていた。受験記からは、専門性向上への強い意欲や教育者としての成長を求める姿勢が読み取れ、試験制度が受験者の学習行動を方向づけていたことが示唆される。
以上の検討から、「文検」體操科は、国家的教育方針、試験制度、受験者の学習実践が相互に作用しながら、体育教師の専門性を制度的に形成・方向づける仕組みとして機能していたことが明らかとなった。本研究は、体育教師の専門性が歴史的にどのように構築されてきたかを理解するうえで基礎的知見を提供し、現代の教員養成制度における専門性保証を検討する際の視野を広げるものである。(本研究は JSPS科研費21K11539の助成を受けたものです。)
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