講演情報
[03心-口-07]小学校体育における多角的な成長の可視化と承認が統制感に与える影響
*見城 航1、廣澤 崇2、益子 照正3、神武 直彦1 (1. 慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科、2. パフォーマンスゴールシステム株式会社、3. 横浜市立三ツ沢小学校)
小学校体育で運動意欲を高める従来のアプローチは有能感に依存しがちで、運動能力が低い児童の支援に限界がある。帰属理論(Weiner)と能力可塑性観(Dweck)に基づく「統制感」(努力や工夫で上達できるという信念)は、能力に依存せず意欲を高める可能性をもつ。学業文脈では統制感が達成目標に作用すると確認されているが、体育で統制感を介入対象として意欲へのパスを検証した研究は少ない。 本研究は小学6年生82名を対象に、単一群事前事後デザインで授業改善実践を実施した。GNSS搭載ウェアラブルデバイスで10m区間タイム・最大加速度・最大速度を可視化したシートをフィードバックし、改善方法を考える機会を全5セッション与え、事前・事後に心理尺度18項目(7因子・5段階)を測定した。 認知変化が行動変化に先行する前提から、統制感を主要指標、運動意欲を副次指標とした。統制感は補正前で有意な上昇を示し(d=0.283, 未補正 p=.012, Holm補正後 p=.086)、意欲は平均値レベルで有意差を示さなかった(p=.703)。媒介分析では、Δ承認感→Δ統制感→Δ意欲の経路で直接効果が消失し間接効果のみが成立した(ab=.091, BCa 95%CI[.011, .295])。承認感尺度の一部項目を除外した感度分析でも同じ媒介パターンを確認した。 多面的な成長可視化と成長承認フィードバックを伴う体育授業は小学生の統制感上昇と統計的に関連し、承認感を起点に統制感を介する間接的な意欲変化の経路が短期実践かつ単一群条件下で観察された。対照群を設けた設計および時間的順序を検証する縦断研究が今後の課題である。
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