講演情報

[会員企画4-2]柔道の指導者資格制度にみるセーフガーディング実装の課題と可能性

*中村 勇1 (1. 鹿屋体育大学)
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<演者略歴>
1994年6月 カリフォルニア州立大学体育学部卒業、1997年3月 筑波大学体育科学系修士課程修了、現在、鹿屋体育大学体育学部講師(武道論)、元全日本柔道連盟指導者養成委員会副委員長、国際柔道連盟ベテランズ委員会委員、(公財)鹿児島県柔道会副会長
全日本柔道連盟は2013年に公認柔道指導者資格制度の運用を開始した。当時、柔道界では重大事故や指導者による体罰等が社会問題化し、指導者に対する安全指導および指導倫理教育の強化が求められていた。制度開始直後から抜本的な見直しが進められ、2015年には改定版が策定された。その後、約10年間の運用を経て2025年に2度目の改定が行われた。
 本発表では、公認柔道指導者資格制度における資格体系、養成・更新プログラムの内容、運用状況を分析し、セーフガーディングにつながる安全管理および倫理教育の実装について検討する。
 公認柔道指導者資格制度では、A・B・Cの3資格を設定し、A資格は指導者を育成する指導者、B・C資格はチームの監督・コーチを担う指導者として位置づけられている。2015年改定版では、養成プログラムにおいて安全管理および倫理に関する講義が、A資格では60時間中6時間、B資格では24時間中7時間、C資格では16時間中7時間配置されていた。2025年改定版ではこれらの割合は減少したものの、更新制度が4年ごとから毎年更新へ変更され、安全指導およびコンプライアンス講義の受講が義務化された。
 制度運用開始から12年を経て、柔道現場における重大事故は大幅な減少が確認されている一方、根絶には至っていない。また、ハラスメントや体罰についても継続的な対応が必要である。セーフ・スポーツの実現には、継続的な教育・啓発活動が不可欠であり、指導者資格制度を活用した取り組みは有効な方策の一つである。しかし、競技団体単独での取り組みには限界も存在する。本発表では、柔道指導者資格制度の運用経験を通して、日本におけるセーフガーディング制度構築への課題と可能性を考察する。

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