セッション詳細

【シンポジウム5】地域リハビリテーションのあり方を考える

2025年10月29日(水) 9:10 〜 10:40
第3会場 (会議ホール:11階)
座長:大渕 修一(東京都健康長寿医療センター)
本セッションでは、「地域リハビリテーションのあり方検討委員会」による提言を取り上げます。
 
 本委員会は、少子高齢社会の進展と疾病構造の変化を背景に、地域リハの将来像を学会として示す必要があるとの認識から設置されました。従来の在宅支援や福祉的介入の延長では人々の生活と健康を十分に支えることが難しくなっており、地域リハを「生活と健康を支える包括的な社会戦略」として再定義する必要があると考えています。委員は学会員および公衆衛生に関心をもつリハ専門職から公募し、制度的・歴史的経緯の共有、課題の抽出、バックキャスティング手法による将来像の検討を重ね、その成果を提言書として取りまとめるべく活動しています。今回の公募セッションは、その中間報告として位置づけ、学術大会の参加者からご意見をいただき、検討を深めていきたいと考えています。
 
 検討にあたっては、これまでの地域リハビリテーションの実施状況を共有したうえで、今後の課題を抽出し、三つのワーキンググループに分けて検討しました。各WGでは、基礎的な統計データを共有し、学会が目指すべき将来像を図示したうえで、10年間のアクションプランを策定しました。結果として、WG1は「子ども」、特にSENを含む多様な教育的ニーズ、WG2は「働き盛り世代」、がん患者の就労と治療の両立、WG3は「高齢者」、働きたい気持ちを活かす就労支援とライフコースを通じた課題の検討を行うことができました。
 
 本提言は、子どもから高齢者まで一貫して「学び、働き、役割を持ち続けられる地域」をどう実現するかを問いかけるものです。本日のセッションでは、各WGリーダーから背景・課題・将来像・ロードマップをご報告いただきます。私は座長として、会員の皆さまから多くのご意見をいただけるよう議論を深めていきたいと考えています。
 
 本委員会は、地域リハが「できること」ではなく、「すべきこと」を先入観なく議論してきました。荒唐無稽な部分もありますが、公衆衛生の地域リハが努力すべき領域を示していると考えています。委員会の目指す提言書は完成形ではなく、出発点です。会員一人ひとりの知見と経験を重ねることで、より良い地域リハのあり方を示したいと考えています。

[シンポジウム5-1]「地域リハビリテーション」オーバービュー

*仲 貴子 (帝京平成大学 健康医療スポーツ学部)

[シンポジウム5-2]高齢者の働きたい気持ちを活かせる地域リハビリテーション

*酒井 美園1、植田 拓也2、鶯 春夫3、出口 直樹4、大渕 修一2 (1. 東京国際大学 医療健康学部,2. 東京都健康長寿医療センター研究所,3. 徳島文理大学,4. 名古屋大学)

[シンポジウム5-3]すべての子が地元で学べる地域リハビリテーション

*陣内 裕成1,2,3、仲 貴子4、柴 喜崇5、鈴木 康裕2、横川 正美6 (1. 日本医科大学,2. 筑波大学,3. 東京都健康長寿医療センター研究所,4. 帝京平成大学健康医療スポーツ学部リハビリテーション学科,5. 福島県立医科大学保健科学部,6. 金沢大学医薬保健学域保健学類)

[シンポジウム5-4]慢性疾患患者の“はたらく”と地域リハビリテーション

*田中 康之 (千葉県千葉リハビリテーションセンター)