セッション詳細
[PD-14]パネルディスカッション 14 医療の質管理部門って何をやるところなの? 安全管理室との関係はどうなっているの?
2025年11月8日(土) 16:00 〜 17:30
第5会場
座長:小池 大助(名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部), 浦松 雅史(東京医科大学 医療の質・安全管理学分野)
海外では医療の「質(Quality)」と「安全(Safety)」は密接に関連し、切り離せない概念として捉えられ、“Department of Quality and Safety in Healthcare”のように、質と安全を一体的に担う部門として組織されている。これにより、質改善と安全管理が連携・統合され、組織全体で医療提供体制の質を継続的に向上させる体制が構築されている。一方、日本の医療施設では「医療安全管理部門」が医療法や厚生労働省などによる各種指針により規定されたことから、安全管理者の設置、安全管理部門の組織的位置付け、権限と責任が定められた。標準的な基本機能としてインシデント報告の収集、事故調査、リスクアセスメントと対応策の実装、職員教育体制などが整備されている。
一方で、「質管理部門」に関しては、現時点で国としての明確な設置基準や指針が存在しておらず、診療報酬の加算にも結びついていない。各医療機関がその必要性や目的に応じて独自に体制を構築しているのが現状である。そのため、質管理部門の名称、担当業務の範囲、人員配置、組織内での位置づけには大きなばらつきがみられる。たとえば「医療の質・安全管理部」「品質管理室」「QIセンター」「医療マネジメント部門」など名称も多様であり、また、病院長直轄の独立部門として設置されている場合もあれば、医療安全管理部門や診療支援部門の一部として運用されていることもある。質管理に関する具体的な業務内容としては、病院全体の目標管理、Quality Indicator(QI)の設定・収集・分析、PDCAサイクルに基づいた改善活動の支援、医療の質に関する院内教育、病院機能評価やJCIなどの外部評価対応、患者満足度や職員満足度調査の実施と活用などが挙げられる。このばらつきは質管理を担う職種や人材が持つべきスキルの同定も困難にしている。病院全体の活動ではマネジメントスキルが必要になり、QIの分析ではデータ分析に長けた人材が求められ、改善活動では改善活動の理解と現場と共同するコミュニケーションスキルが求められるなど多種多様である。
質と安全の両者のシナジー効果が医療の全体的な改善につながることは明らかであるが、それを実現するための体制設計には現在多様な工夫と試行錯誤の途中であると思われる。医療の質向上の目標としてInstitution of Medicineは安全性を含む6つの目標を示しており、広義の医療の質管理は安全管理部門のみでカバーすることは難しい。安全管理部門に質管理の機能が含まれている場合、組織構造や人員配置、責任体制、業務内容などに課題を抱えるケースも少なくない。
本企画では、質管理に関して先進的な取り組みを行っている医療機関の実例を紹介し、それぞれの組織体制、安全管理部門との関係性、部門間の役割分担、具体的な活動内容などを共有することで、わが国における質管理部門の現状と課題、今後のあるべき姿について理解を深めることを目的とする。医療の質と安全、両者の有機的な連携についてもあわせて議論し、今後の質管理部門の制度的整備や標準化の方向性についての示唆を得たいと考えている。
一方で、「質管理部門」に関しては、現時点で国としての明確な設置基準や指針が存在しておらず、診療報酬の加算にも結びついていない。各医療機関がその必要性や目的に応じて独自に体制を構築しているのが現状である。そのため、質管理部門の名称、担当業務の範囲、人員配置、組織内での位置づけには大きなばらつきがみられる。たとえば「医療の質・安全管理部」「品質管理室」「QIセンター」「医療マネジメント部門」など名称も多様であり、また、病院長直轄の独立部門として設置されている場合もあれば、医療安全管理部門や診療支援部門の一部として運用されていることもある。質管理に関する具体的な業務内容としては、病院全体の目標管理、Quality Indicator(QI)の設定・収集・分析、PDCAサイクルに基づいた改善活動の支援、医療の質に関する院内教育、病院機能評価やJCIなどの外部評価対応、患者満足度や職員満足度調査の実施と活用などが挙げられる。このばらつきは質管理を担う職種や人材が持つべきスキルの同定も困難にしている。病院全体の活動ではマネジメントスキルが必要になり、QIの分析ではデータ分析に長けた人材が求められ、改善活動では改善活動の理解と現場と共同するコミュニケーションスキルが求められるなど多種多様である。
質と安全の両者のシナジー効果が医療の全体的な改善につながることは明らかであるが、それを実現するための体制設計には現在多様な工夫と試行錯誤の途中であると思われる。医療の質向上の目標としてInstitution of Medicineは安全性を含む6つの目標を示しており、広義の医療の質管理は安全管理部門のみでカバーすることは難しい。安全管理部門に質管理の機能が含まれている場合、組織構造や人員配置、責任体制、業務内容などに課題を抱えるケースも少なくない。
本企画では、質管理に関して先進的な取り組みを行っている医療機関の実例を紹介し、それぞれの組織体制、安全管理部門との関係性、部門間の役割分担、具体的な活動内容などを共有することで、わが国における質管理部門の現状と課題、今後のあるべき姿について理解を深めることを目的とする。医療の質と安全、両者の有機的な連携についてもあわせて議論し、今後の質管理部門の制度的整備や標準化の方向性についての示唆を得たいと考えている。
[PD-14-1]医療の質管理室が主導する問題解決型QI活動"The Quality Improvement Journey"
○宮下 照美 (藤田医科大学病院 病院機能管理・JCI対策室/医療の質安全対策部・医療の質管理室)
[PD-14-2]品質保証室の業務 ~データマネージャーの目線から~
○松本 聡子 (NTT東日本関東病院 品質保証室)
[PD-14-3]聖路加医療の質管理室による医療の質向上の体系化と推進体制の構築
○水野 篤 (聖路加国際病院 医療の質管理室)
[PD-14-4]医療の質管理への医療安全管理部門の関わり -久留米大学病院の取り組み-
○横山 晋二1, 林 ゆかり2, 早川 晴美1, 田中 美穂1, 合原 則隆1, 堤 一貴1 (1.久留米大学病院 医療安全管理部, 2.久留米大学病院 看護部管理室)
