講演情報
[101-1630]脳卒中後の運動機能の『変化』を科学する:測定誤差を超えた意味ある回復を捉える
講師:天野 暁 先生(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科作業療法学専攻)
回復期における脳卒中後上肢運動麻痺への介入戦略を科学する:根拠に基づいた選択と活用
講師:廣瀬 卓哉 先生(湘南慶育病院リハビリテーション部)
急性期脳卒中におけるMixed Realityの臨床的活用を科学する:運動機能・高次脳機能における評価と介入の展望
講師:千葉 周平 先生(北里大学病院リハビリテーション部)
座長:丸山 祥 先生(湘南慶育病院リハビリテーション部)
脳卒中後の運動機能の『変化』を科学する:測定誤差を超えた意味ある回復を捉える
天野 暁 先生(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科作業療法学専攻)
脳卒中後の運動機能障害に対する作業療法の実践において, 科学的根拠に基づく「変化の捉え方」が今, 改めて問われている. 微細な運動機能の変化をどれだけ正確に捉え, それに基づき介入を調整できるかが, 対象者の回復過程を支えるうえで重要な鍵となる. 変化には, 単なる測定誤差を超えた変化と, それに臨床的意味が加わったものがある. それを科学的に裏付ける取り組みは, 介入の標準化とエビデンス蓄積の基盤となる.
本セッションでは, Fugl-Meyer Assessment(FMA)やAction Research ArmTest(ARAT)を中心に, 運動機能評価の測定特性と現場活用の実態を整理する. また, 測定誤差を考慮しつつ Minimal Important Change(MIC)を意識した, 評価設計における臨床的意味の重要性に焦点を当て, 「意味ある変化」を臨床でどう可視化するかを議論する. 研究設計においても, 一般的に利用されてきたMIC算出手法に加え, 最近の研究動向も紹介し,多角的な視点から考察を深めたい.
さらに, こうした科学的評価文化を次世代の作業療法士教育へ橋渡しする視点にも触れる. 臨床教育における評価訓練のあり方や, 臨床と教育の連携促進に向けた課題を展望し,これからの作業療法の評価観について議論したい.
回復期における脳卒中後上肢運動麻痺への介入戦略を科学する:根拠に基づいた選択と活用
廣瀬 卓哉 先生(湘南慶育病院リハビリテーション部)
回復期における脳卒中後の上肢運動麻痺に対する介入は、麻痺手の機能回復を促進し、対象者の生活再建を支援する上で極めて重要である。しかし、多様な介入方法が存在するなかで、何を・いつ・どのように選択し活用するかについては、いまだ十分に明らかにされていない点も多い。本講演では、脳卒中後の上肢運動麻痺に対する主要な介入戦略のエビデンスを整理し、臨床実践における選択と活用の手がかりを提示する。さらに、これらの知見を日々の臨床に統合するために必要な思考のプロセスや方略についても共有したい。
急性期脳卒中におけるMixed Realityの臨床的活用を科学する:運動機能・高次脳機能における評価と介入の展望
千葉 周平 先生(北里大学病院リハビリテーション部)
脳卒中患者の多くは運動麻痺や高次脳機能障害等を発症し,日常生活の自立度低下を招く.日常生活の自立度の向上が重要な目標となる脳卒中急性期において,これらの障害に対する評価や訓練の発展は急務である.従来の評価や訓練をさらに発展させる手段の一つとして,Mixed Reality(MR)が近年注目を集めており,脳卒中リハビリテーションへの臨床導入が徐々に進んでいる.MRは仮想現実と拡張現実を融合させることで,従来の紙面上で行う認知機能評価よりも現実空間により近い状況での評価やトラッキング機能による視線や頭部の質的評価が可能である.また,訓練の難易度や内容を容易に調整でき,対象者に応じた幅広い訓練プログラムを柔軟に設計できるため,個別性の高いリハビリテーションを実現しやすい.そのため,作業療法の専門領域である上肢運動麻痺や高次脳機能障害に対する評価や訓練,さらにはADLの向上に資する応用が期待できる.
本セッションでは,当院での実践例をもとに,急性期脳卒中におけるMRの利点について紹介する.具体的には,半側空間無視患者に対し,頭部や視線の動きを可視化して評価や訓練に活用した事例や,手指麻痺患者に対しミラーセラピーの概念を発展させたMR技術による介入等を取り上げる.これらの経験を通じて,急性期リハビリテーションにおけるMRの意義や課題,科学的根拠の創出に向けた可能性について考察したい.
天野 暁 先生(北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科作業療法学専攻)
脳卒中後の運動機能障害に対する作業療法の実践において, 科学的根拠に基づく「変化の捉え方」が今, 改めて問われている. 微細な運動機能の変化をどれだけ正確に捉え, それに基づき介入を調整できるかが, 対象者の回復過程を支えるうえで重要な鍵となる. 変化には, 単なる測定誤差を超えた変化と, それに臨床的意味が加わったものがある. それを科学的に裏付ける取り組みは, 介入の標準化とエビデンス蓄積の基盤となる.
本セッションでは, Fugl-Meyer Assessment(FMA)やAction Research ArmTest(ARAT)を中心に, 運動機能評価の測定特性と現場活用の実態を整理する. また, 測定誤差を考慮しつつ Minimal Important Change(MIC)を意識した, 評価設計における臨床的意味の重要性に焦点を当て, 「意味ある変化」を臨床でどう可視化するかを議論する. 研究設計においても, 一般的に利用されてきたMIC算出手法に加え, 最近の研究動向も紹介し,多角的な視点から考察を深めたい.
さらに, こうした科学的評価文化を次世代の作業療法士教育へ橋渡しする視点にも触れる. 臨床教育における評価訓練のあり方や, 臨床と教育の連携促進に向けた課題を展望し,これからの作業療法の評価観について議論したい.
回復期における脳卒中後上肢運動麻痺への介入戦略を科学する:根拠に基づいた選択と活用
廣瀬 卓哉 先生(湘南慶育病院リハビリテーション部)
回復期における脳卒中後の上肢運動麻痺に対する介入は、麻痺手の機能回復を促進し、対象者の生活再建を支援する上で極めて重要である。しかし、多様な介入方法が存在するなかで、何を・いつ・どのように選択し活用するかについては、いまだ十分に明らかにされていない点も多い。本講演では、脳卒中後の上肢運動麻痺に対する主要な介入戦略のエビデンスを整理し、臨床実践における選択と活用の手がかりを提示する。さらに、これらの知見を日々の臨床に統合するために必要な思考のプロセスや方略についても共有したい。
急性期脳卒中におけるMixed Realityの臨床的活用を科学する:運動機能・高次脳機能における評価と介入の展望
千葉 周平 先生(北里大学病院リハビリテーション部)
脳卒中患者の多くは運動麻痺や高次脳機能障害等を発症し,日常生活の自立度低下を招く.日常生活の自立度の向上が重要な目標となる脳卒中急性期において,これらの障害に対する評価や訓練の発展は急務である.従来の評価や訓練をさらに発展させる手段の一つとして,Mixed Reality(MR)が近年注目を集めており,脳卒中リハビリテーションへの臨床導入が徐々に進んでいる.MRは仮想現実と拡張現実を融合させることで,従来の紙面上で行う認知機能評価よりも現実空間により近い状況での評価やトラッキング機能による視線や頭部の質的評価が可能である.また,訓練の難易度や内容を容易に調整でき,対象者に応じた幅広い訓練プログラムを柔軟に設計できるため,個別性の高いリハビリテーションを実現しやすい.そのため,作業療法の専門領域である上肢運動麻痺や高次脳機能障害に対する評価や訓練,さらにはADLの向上に資する応用が期待できる.
本セッションでは,当院での実践例をもとに,急性期脳卒中におけるMRの利点について紹介する.具体的には,半側空間無視患者に対し,頭部や視線の動きを可視化して評価や訓練に活用した事例や,手指麻痺患者に対しミラーセラピーの概念を発展させたMR技術による介入等を取り上げる.これらの経験を通じて,急性期リハビリテーションにおけるMRの意義や課題,科学的根拠の創出に向けた可能性について考察したい.