講演情報

[102-0950]講師:松本 琢麿 先生(神奈川県総合リハビリテーションセンター)
座長:一木 愛子 先生(神奈川県総合リハビリテーションセンター)  

私は入院/外来患者のみならず,福祉施設の利用者に加えて,在宅患者の地域支援や訪問スタッフとの協働作業など,多くの経験をしてきた.病院勤務の作業療法士が多いなか,『病院から在宅生活に向けた持続的で効果的な作業療法とは』何なのか?今回与えられた時間で考えていきたい.
私が目指す臨床作業療法は,疾患障害の基礎知識のみならず治療技術や支援技術,地域連携というセラピストの臨床力をベースに,機能的介入や基本動作支援,ADL支援やQOL支援へとつながる患者のドラマチックなストーリー(クリニカルリーズニング)を患者家族らと共有して,一緒に目標達成を目指すことが大切である.それには患者の予後等の先入観をもたず,治療の成功を信じて挑戦すること,最大限の準備と技術研鑽をおこない,誠意を持って継続的に対応することが大切となる.
私が担当した様々な疾患や年齢層に対する作業療法から私見をまとめると,「患者の達成感やセラピストの満足感を満たすだけの無目的な心身機能のアプローチは,持続的な効果は少なく,将来的に役立たない」ことが多いように感じる.日本作業療法士協会が掲げる「人は作業をすることで元気になれる」というような『活動参加へのアプローチ』が,改めて心身機能や動作能力の維持改善につながると実感している.
講演当日は担当事例のビデオ映像を通して,皆様にお話ししたいと思います.クライアントがどの作業療法士から介入を受けても,持続的で効果的な作業療法を享受できることを願うとともに,次世代の作業療法士が『作業療法をさらに発展進化させていくこと』を願っている.