講演情報
[10401-07-05]視神経脊髄炎スペクトラム患者一例に対する日本語版職業リハビリテーション質問紙を用いた就労支援
*阿部 直人1、佐々木 祥太郎1、佐々木 洋子1、山之口 杏香1、西澤 美穂1 (1. 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)
キーワード:
急性期、就労支援、評価
【はじめに】急性期病院を退院後も障害が残存する者も多く,退院後の就労支援に対するニーズは高い.就労支援の評価は心身機能の評価指標が多く使用されるが,業務に関する動作を心身機能から予測する難しさがある.また,症例も自身の状態と就労を結びつけて捉えることが困難な場合がある.そこで今回,視神経脊髄炎スペクトラム患者一例に対し,患者立脚型評価である日本語版職業リハビリテーション質問紙(以下,WORQ-J)を用いて就労支援を行い復職に至ったため報告する.なお,発表に際し文書および口頭にて本人より同意を得ている.
【症例】グループホームの介護職である60歳代女性.両上下肢の痺れを自覚し当院MRIにて延髄から胸髄(Th12)にかけ髄内病変を認め,Y月Z日に当院入院した.
【初期評価:Z+2日】意識は清明で,明らかな運動麻痺はなかったが,表在覚は中等度,深部覚は重度鈍麻で,上肢機能はBox and Block Test(以下,BBT)で右30個,左20個であった.また,MMTは上肢4,腸腰筋群3,その他下肢5であり,バランスは片脚立位時間が左右2秒,歩行はFIM4であった.その他のADLは自立も食事の行いづらさ等があった.
【経過】入院治療中,作業療法はADL練習,理学療法は歩行練習を行い,Z+19日に自宅退院となったが,復職について悩んでおり外来にて作業療法を継続した.Z+26日,感覚障害は残存も,片脚立位時間は左右30秒,BBTは右43個,左44個と改善傾向にあった.復職する上で問題を明らかにするために行ったWORQ-Jにて8点以上問題があるとした項目は「12.バランスを保つこと」などであった.一方「21.寝床を整える,あるいは仕事場や机上をきれいに片づけたりするといった単純な課題をこなすこと」は5点であった.客観的評価でバランスは改善傾向にあったが症例の不安もあり,移乗など転倒リスクのある業務は控え,環境整備や食事準備などの業務を中心に復職することを共有した.そして,Z+72日に週1日,共有した業務で復職を果たした.
【最終評価:Z+136日】感覚は中等度鈍麻であったが,片脚立位時間は左右30秒,BBTは右52個,左44個であった.WORQ-Jにおける「12.バランスを保つこと」は0点であったが,今後症状の増悪リスクも踏まえ移乗は継続して控えた.「21.寝床を整える,あるいは仕事場や机上をきれいに片づけたりするといった単純な課題をこなすこと」は0点となり,環境整備などの業務は支障なく実施でき,勤務も週2日に増えた.
【考察】今回,心身機能の評価に加え患者立脚型評価であるWORQ-Jを用いたことでクライエントの可能な業務を共有でき復職に至った.以上のことから本症例に対して心身機能の評価とWORQ-Jを用いることは就労支援を促進させる可能性があることが示唆された.
【症例】グループホームの介護職である60歳代女性.両上下肢の痺れを自覚し当院MRIにて延髄から胸髄(Th12)にかけ髄内病変を認め,Y月Z日に当院入院した.
【初期評価:Z+2日】意識は清明で,明らかな運動麻痺はなかったが,表在覚は中等度,深部覚は重度鈍麻で,上肢機能はBox and Block Test(以下,BBT)で右30個,左20個であった.また,MMTは上肢4,腸腰筋群3,その他下肢5であり,バランスは片脚立位時間が左右2秒,歩行はFIM4であった.その他のADLは自立も食事の行いづらさ等があった.
【経過】入院治療中,作業療法はADL練習,理学療法は歩行練習を行い,Z+19日に自宅退院となったが,復職について悩んでおり外来にて作業療法を継続した.Z+26日,感覚障害は残存も,片脚立位時間は左右30秒,BBTは右43個,左44個と改善傾向にあった.復職する上で問題を明らかにするために行ったWORQ-Jにて8点以上問題があるとした項目は「12.バランスを保つこと」などであった.一方「21.寝床を整える,あるいは仕事場や机上をきれいに片づけたりするといった単純な課題をこなすこと」は5点であった.客観的評価でバランスは改善傾向にあったが症例の不安もあり,移乗など転倒リスクのある業務は控え,環境整備や食事準備などの業務を中心に復職することを共有した.そして,Z+72日に週1日,共有した業務で復職を果たした.
【最終評価:Z+136日】感覚は中等度鈍麻であったが,片脚立位時間は左右30秒,BBTは右52個,左44個であった.WORQ-Jにおける「12.バランスを保つこと」は0点であったが,今後症状の増悪リスクも踏まえ移乗は継続して控えた.「21.寝床を整える,あるいは仕事場や机上をきれいに片づけたりするといった単純な課題をこなすこと」は0点となり,環境整備などの業務は支障なく実施でき,勤務も週2日に増えた.
【考察】今回,心身機能の評価に加え患者立脚型評価であるWORQ-Jを用いたことでクライエントの可能な業務を共有でき復職に至った.以上のことから本症例に対して心身機能の評価とWORQ-Jを用いることは就労支援を促進させる可能性があることが示唆された.