講演情報
[10408-14-03]知的障害者の家族への作業療法支援に関する一考察-新型コロナ感染症による環境変化から行動障害が増悪した事例の家族へのインタビューから-
*坂本 俊夫1 (1. 東京保健医療専門職大学)
キーワード:
知的障害、家族、環境因子、作業療法プログラム
【目的】目的は知的障害者の家族の持つ困りごとと作業療法士への関わりへの期待を明らかにすることである.
【方法】対象は筆者の関わる施設の関係者から,知的障害者の対応に苦慮している家族を機縁法で選定した.対象は20代前半女性(以下,家族A)で,20代後半の知的障害の男性Bの家族であった.調査時に家族Aは医療系大学生で,作業療法士について興味・関心.知識があった.研究は口頭と書面で説明し同意を受けている.方法は,半構成的面接とし,結果の内容を分析した.なお本研究は所属の研究倫理審査を受けている.
【結果】1.対象Bについて:運動発達には問題ないが知的障害が重度であった.また奇声や徘徊などが認められた.新型コロナ感染症の緊急事態宣言以前は障害福祉サービス「生活介護」を受けていた.
2.コロナ前の対象Bの行動と家族Aの思い
1)対象B:通所時は各プログラムに参加し,穏やかな表情で施設職員による関わりにも安定したやりとりができていたようだ.自宅では好きな音楽やTVに夢中になるとのことであった.2)家族A:家族Aは通学以外に対象Bと関わり,排泄の誘導や空腹時対応をしていた.
3.コロナ中の対象Bの行動と家族Aの思い
1)対象B:通所が中断となり,自宅で好きな音楽やTVに夢中になる様子があったものの,通所時の外出時間になると不穏となり,奇声や徘徊などが認められた.2)家族A:家族Aも大学がオンライン授業で在宅が多くなり,買い物や散歩以外の在宅時は,対象Bと関わるようになった.これまでの介入に加えて,日常的に上記のような行動障害に介入することが多くなった.以前より状態が悪くなったと感じていた.
4.家族Aの作業療法士介入の期待:
1)日常生活:「介助が増えた」「外出時にマスクを嫌がるが,どうしたらつけてくれるか,つけるようになるか」「手指の消毒も嫌がる,そんなときどうしたらいいか」,2)遊び・余暇:「通所が減ったため自由時間が増えた」「何が好きか,何ができるかわからない」「どのように介入したらよいかわからなった」,3)仕事・役割:「いずれグループホームなどでの生活を目指せればと思っていたが,急にこのような状況になり困っている」「グループホームでは簡単な役割や他者交流が必要と聞いた」「これからは,簡単な家事,共同生活でも必要なことを身につける必要があると感じている」「その練習を家でもしたほうがよいのではないか」
【考察】以上の結果から各作業についての課題が示された.これまで,知的障害者の環境変化における作業療法介入に関しての指針は明確になっていない.そこで,解決には対象Bおよび家族Aの抱える課題に対する具体的な目標設定と作業療法計画を立て,家族指導の観点を含めて介入する必要があると考える.
【結論】知的障害者の支援では様々な環境変化の影響とその家族の介入期待を含め支援を検討する必要が示唆された.
【方法】対象は筆者の関わる施設の関係者から,知的障害者の対応に苦慮している家族を機縁法で選定した.対象は20代前半女性(以下,家族A)で,20代後半の知的障害の男性Bの家族であった.調査時に家族Aは医療系大学生で,作業療法士について興味・関心.知識があった.研究は口頭と書面で説明し同意を受けている.方法は,半構成的面接とし,結果の内容を分析した.なお本研究は所属の研究倫理審査を受けている.
【結果】1.対象Bについて:運動発達には問題ないが知的障害が重度であった.また奇声や徘徊などが認められた.新型コロナ感染症の緊急事態宣言以前は障害福祉サービス「生活介護」を受けていた.
2.コロナ前の対象Bの行動と家族Aの思い
1)対象B:通所時は各プログラムに参加し,穏やかな表情で施設職員による関わりにも安定したやりとりができていたようだ.自宅では好きな音楽やTVに夢中になるとのことであった.2)家族A:家族Aは通学以外に対象Bと関わり,排泄の誘導や空腹時対応をしていた.
3.コロナ中の対象Bの行動と家族Aの思い
1)対象B:通所が中断となり,自宅で好きな音楽やTVに夢中になる様子があったものの,通所時の外出時間になると不穏となり,奇声や徘徊などが認められた.2)家族A:家族Aも大学がオンライン授業で在宅が多くなり,買い物や散歩以外の在宅時は,対象Bと関わるようになった.これまでの介入に加えて,日常的に上記のような行動障害に介入することが多くなった.以前より状態が悪くなったと感じていた.
4.家族Aの作業療法士介入の期待:
1)日常生活:「介助が増えた」「外出時にマスクを嫌がるが,どうしたらつけてくれるか,つけるようになるか」「手指の消毒も嫌がる,そんなときどうしたらいいか」,2)遊び・余暇:「通所が減ったため自由時間が増えた」「何が好きか,何ができるかわからない」「どのように介入したらよいかわからなった」,3)仕事・役割:「いずれグループホームなどでの生活を目指せればと思っていたが,急にこのような状況になり困っている」「グループホームでは簡単な役割や他者交流が必要と聞いた」「これからは,簡単な家事,共同生活でも必要なことを身につける必要があると感じている」「その練習を家でもしたほうがよいのではないか」
【考察】以上の結果から各作業についての課題が示された.これまで,知的障害者の環境変化における作業療法介入に関しての指針は明確になっていない.そこで,解決には対象Bおよび家族Aの抱える課題に対する具体的な目標設定と作業療法計画を立て,家族指導の観点を含めて介入する必要があると考える.
【結論】知的障害者の支援では様々な環境変化の影響とその家族の介入期待を含め支援を検討する必要が示唆された.