セッション詳細

[3LS-10]シナプス生理学のトランスレーショナル アプローチ

2025年7月26日(土) 12:00 〜 12:50
第10会場(306+307)
座長:樋口 真人(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究センター)
共催:株式会社アンパメトリー
外界からの入力に反応して脳が変化する現象を「可塑性」と呼ぶ。シナプスレベルでの可塑性(シナプス可塑性)の基礎研究はげっ歯類の研究により多くの知見が蓄積されている一方で、その臨床応用は非常に乏しいというのが現状である。グルタミン酸シナプスは脳内での情報処理において中核的な役割を果たしている。脳に可塑的な変化がおこる際、グルタミン酸受容体であるAMPA受容体がシナプスへ移行する。
当教室では外界からの入力に依存して起こるAMPA受容体シナプス移行を促進する化合物を特定しており、脳卒中後のリハビリテーション効果促進薬としての可能性を検証中である。現在げっ歯類,霊長類においては劇的な効果が証明されており、脳卒中患者を対象とした臨床治験を行っている。「リハビリテーション効果促進薬」という概念の薬剤は存在せず、実現すれば本疾患の治療に非常に大きな前進がもたらされる。
現在の精神神経疾患の診断治療は生物学的根拠に乏しい。本講演ではAMPA受容体を認識するPET Probeの開発について当教室の最新の知見を紹介する。我々が開発した世界初のAMPA受容体PET probeによりヒトでAMPA受容体を可視化できるようになった。これにより、「シナプス機能分子による精神神経疾患の再分類」が可能になり、精神神経疾患の生物学的根本原理の解明にせまれるとともに、今後の「基礎研究の根拠」に基づいた新規診断が可能になる。

[3LS-10-01]シナプス生理学のトランスレーショナル アプローチ

*高橋 琢哉1 (1.横浜市立大学大学院医学研究科)
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