セッション詳細

[S01★☆]フェンタニルの逆説:疼痛緩和と社会的危機のはざまで

2026年3月27日(金) 9:30 〜 11:30
第03会場 (E201 第2学舎3号館 E棟 [2F])
オーガナイザー:徳山 尚吾 (神戸学院大薬)
フェンタニルは、がん性疼痛や術後疼痛管理に不可欠な医療用麻薬として確固たる地位を持つ一方、北米を中心に乱用による中毒死が急増し、日本経由の密輸ルートが国際的に報道されるなど、医療と社会の境界を越えた問題として浮上している。強い鎮痛作用をもつ薬剤が、医療領域では患者の苦痛を和らげる必須の治療選択肢であるにもかかわらず、社会的には重大なリスク要因として扱われるという「逆説」は、今後の薬学分野における重要な検討課題である。
本シンポジウムでは、この逆説的状況を社会・科学・制度・臨床の四つの視点から統合的に考察する。まず、北米での乱用・中毒死の急増と日本の位置づけという社会的背景を整理し、問題の全体像を示す。続いて、オピオイド関連化合物の分子設計や構造活性相関に基づく創薬研究の最新知見を紹介し、フェンタニル問題を科学的にどのように乗り越え得るかを考える。さらに、薬剤師による適正管理、不正流通防止、制度的枠組みの整備という医療安全の視点を取り上げ、現場で求められる具体的な対応を共有する。最後に、緩和医療を含む臨床現場での適切な使用方法と患者支援の実践を提示し、「恐れず、正しく使う」という視点から医療の信頼性を高める方向性を示す。社会的危機と医療の必要性が交錯するフェンタニル問題について、多面的な議論を通じて、薬学が果たすべき役割と未来への展望を示したい。

オーガナイザー挨拶
徳山 尚吾(神戸学院大薬)

[S01-1]フェンタニル問題の現在地:日経報道からの考察

○徳山 尚吾1 (1. 神戸学院大薬)

[S01-2]オピオイドクライシスに挑む:フェンタニル由来オピオイドμ受容体拮抗薬の開発

○高橋 秀依1 (1. 東京理大薬)

[S01-3]薬剤師が担うフェンタニルの適正使用推進

○金子 健1,2 (1. 慶應義塾大学病院 薬剤部、2. 慶應義塾大学病院 緩和ケアセンター)

[S01-4]フェンタニルを恐れず、正しく使う:緩和医療の現場から

○山口 重樹1 (1. 獨協医科大学)

総合討論