講演情報
[SY3-1]薬局学会で行ったアンケート調査から見える薬局薬剤師の現状とこれから
○中村 敏明 (大阪医科薬科大学 薬学部 臨床薬学教育研究センター 教授)

日本薬局学会は、学術団体として薬剤師資質のさらなる向上、地域社会の医療・介護・福祉に貢献できる薬剤師の育成を担うべく、委員会組織が刷新された。その中で教育検討委員会、研修委員会、認定制度委員会の3委員会は、それぞれの委員会活動の趣旨に関連性が高いことから、合同会議を開催するなど連携しながら活動を開始している。
これまでの実績を踏まえ、研修制度の充実はもとより、学術活動推進のための学修機会の提供、認定薬剤師制度などについて検討し、本格的な学術活動を進めることになった。活動開始にあたり、現状把握は不可欠であり、今後の方向性を決定する上でも重要であるため、日本保険薬局協会の協力を得てWebアンケート調査を実施した。
2024年9月に日本保険薬局協会の正会員382社および勤務する薬剤師を対象に調査を依頼した。回答のあった73社(19.1%)では、約9割の会員施設において、独自の教育・研修を実施していた。また、研修会等への参加について、参加費や旅費の補助など様々な支援を行うなど、教育・研修に積極的に取り組まれている現状が確認できた。一方、勤務する薬剤師は年間の研修受講時間が30時間未満と回答し、また、学会・学術大会に参加していないとの回答も半数以上であるなど、研修会等への参加は積極的とは言えない結果であった。この要因については今回の調査に含まれていないため明らかではなく、今後の調査が必要である。
個人を対象とした自分が目指す薬剤師像に関する調査からは、「患者・生活者から信頼される薬剤師」、「幅広く患者・生活者に対応できる薬剤師」、「地域医療に貢献できる薬剤師」といった薬剤師像を読み取ることができた。一方で、社会に視点を置き、これからの社会において信頼され必要とされる薬剤師として職能を発揮できる人材の育成が必要である。これらを兼ね備えた薬剤師を育成するためには、豊富な知識をもつだけでなく、その知識を活かして多様な課題を見出し、状況や患者に応じて適切に対応する能力を身につけられるような学修機会が必要である。
今回のシンポシウムでは、理想の薬剤師とはどんな薬剤師か、それを実現するためにはどのような生涯研鑽が必要かをご参加の先生方と考察し、日本薬局学会が取り組むべき教育・研修のこれからについて議論を深めたい。
【略歴】
1983年 3月 岐阜薬科大学薬学部製造薬学科卒業
1983年 4月 名古屋大学医学部附属病院薬剤部
1993年 7月 福井医科大学医学部附属病院薬剤部
2003年10月 福井大学医学部附属病院薬剤部(統合により名称変更)
2004年11月 福井大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
2008年 4月 福井大学医学部附属病院 講師 副薬剤部長
2016年 4月 大阪薬科大学薬学部 教授
2021年 4月 大阪医科薬科大学薬学部 教授(統合により名称変更)
学会認定等:
日本医薬品情報学会・認定医薬品情報専門薬剤師
日本医療薬学会認定薬剤師・指導薬剤師 他
これまでの実績を踏まえ、研修制度の充実はもとより、学術活動推進のための学修機会の提供、認定薬剤師制度などについて検討し、本格的な学術活動を進めることになった。活動開始にあたり、現状把握は不可欠であり、今後の方向性を決定する上でも重要であるため、日本保険薬局協会の協力を得てWebアンケート調査を実施した。
2024年9月に日本保険薬局協会の正会員382社および勤務する薬剤師を対象に調査を依頼した。回答のあった73社(19.1%)では、約9割の会員施設において、独自の教育・研修を実施していた。また、研修会等への参加について、参加費や旅費の補助など様々な支援を行うなど、教育・研修に積極的に取り組まれている現状が確認できた。一方、勤務する薬剤師は年間の研修受講時間が30時間未満と回答し、また、学会・学術大会に参加していないとの回答も半数以上であるなど、研修会等への参加は積極的とは言えない結果であった。この要因については今回の調査に含まれていないため明らかではなく、今後の調査が必要である。
個人を対象とした自分が目指す薬剤師像に関する調査からは、「患者・生活者から信頼される薬剤師」、「幅広く患者・生活者に対応できる薬剤師」、「地域医療に貢献できる薬剤師」といった薬剤師像を読み取ることができた。一方で、社会に視点を置き、これからの社会において信頼され必要とされる薬剤師として職能を発揮できる人材の育成が必要である。これらを兼ね備えた薬剤師を育成するためには、豊富な知識をもつだけでなく、その知識を活かして多様な課題を見出し、状況や患者に応じて適切に対応する能力を身につけられるような学修機会が必要である。
今回のシンポシウムでは、理想の薬剤師とはどんな薬剤師か、それを実現するためにはどのような生涯研鑽が必要かをご参加の先生方と考察し、日本薬局学会が取り組むべき教育・研修のこれからについて議論を深めたい。
【略歴】
1983年 3月 岐阜薬科大学薬学部製造薬学科卒業
1983年 4月 名古屋大学医学部附属病院薬剤部
1993年 7月 福井医科大学医学部附属病院薬剤部
2003年10月 福井大学医学部附属病院薬剤部(統合により名称変更)
2004年11月 福井大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
2008年 4月 福井大学医学部附属病院 講師 副薬剤部長
2016年 4月 大阪薬科大学薬学部 教授
2021年 4月 大阪医科薬科大学薬学部 教授(統合により名称変更)
学会認定等:
日本医薬品情報学会・認定医薬品情報専門薬剤師
日本医療薬学会認定薬剤師・指導薬剤師 他
