講演情報

[ZE_VRU11-04]女性リーダーシップによる人道支援の新たな仕組みづくり:PCAT・複数災害10年の実践から

*原田 奈穂子1 (1. 岡山大学 学術研究院ヘルスシステム統合科学学域看護科学分野 (日本))
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キーワード:

看護、リーダーシップ、人道支援、プライマリ・ケア

背景: 日本の従来の災害医療システムは急性期の救命救急に重点が置かれており、亜急性期から復興期にかけてのプライマリ・ケア、公衆衛生、メンタルヘルス支援には構造的な空白が生じてきた。日本プライマリ・ケア連合学会のもとに設立されたPCATは、この未充足のニーズに応えるべく、長期的・多職種連携・地域志向型の支援を提供することを目的として創設された。
実践: PCATは2011年東日本大震災発生から6日以内に活動を開始し、その後2016年熊本地震、2024年能登半島地震および豪雨災害においても対応を行ってきた。災害精神医学と国際人道支援基準の専門知識を持つ看護師・研究者がリードし、日本の国内災害対応組織として先駆的にスフィアハンドブックを導入。保健・福祉・行政にまたがる統合的な連携システムを構築した。特筆すべき革新として、従来の日本の災害医療では見過ごされてきた「支援者支援」を組織的責務として制度化したことが挙げられる。
研究: 東日本大震災対応を通じて実施したメンタルヘルス調査では、ボランティア支援者における燃え尽き症候群および二次的外傷性ストレスの高い罹患率が確認され、女性支援者に特有のパターンも明らかになった。これらの知見はPCAT内部の支援体制の改善に直接活用されるとともに、国レベルでの支援者ケア政策の提言にも貢献した。
結論: 看護の専門性を基盤とした女性リーダーシップこそが、救急医療・公衆衛生・人間の尊厳をつなぐ人道支援システム構築の原動力となった。PCATは、女性が科学・保健医療においてリーダーシップを発揮することが、より公平で実効性の高い災害対応システムの構築に不可欠であることを示す、再現可能なモデルを提供している。

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