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[会員企画7-1]アメリカ大学スポーツの最前線が問いかけるものThe Results of NCAA Academic Reform and the Financial Collapse of Small Colleges

*Fumio Tsukahara1 (1. Teikyo University)
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<演者略歴>
1977年、東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業、東京大学大学院教育学研究科単位取得満期退学。博士(スポーツ科学、早稲田大学)。札幌大学文化学部講師、京都先端科学大学健康医療学部准教授などを経て現職。専攻はスポーツ社会学/スポーツマネジメント。主著に『就職と体育会系神話 大学・スポーツ・企業の社会学』(青弓社)、共著に『スポーツまちづくりの教科書』(青弓社)、『近代日本を創った身体』(大修館書店)など。
NCAA D-Iにおける学業改革は、1980年代のプロポジション48などの入学基準厳格化がマイノリティを排除した反省から、2000年代以降、入学後の学業進捗管理へと方針転換した。その中核である学業進捗率(APR)は、毎学期の適格性と定着率をリアルタイムで測定する。NCAAは卒業率50%相当のAPR 930を基準値とし、未達校にはポストシーズン出場禁止等の厳格な制裁を科す。この制裁の実効性により大学の学業支援体制は拡充し、全体の卒業成功率(GSR)の大幅な向上という政策的成果をもたらした。一方で、資金力に乏しい小規模校や歴史的黒人大学が構造的に不利になる問題や、制裁回避のために負担が軽い専攻へ学生を誘導する学業不正を誘発する負の影響も顕在化している。
 こうした厳格な基準に対応すべく、D-I大学は高度な専門支援組織を構築している。UCLAでは学生アスリート限定の学業支援専門職を配置し、コーチ陣からの不当な圧力を排除するコンプライアンス体制を確立している。また、フロリダ大学では大規模な専用施設を拠点に、授業の無断欠席に対して試合出場停止に至るペナルティを適用し、高い倫理基準のもとで卓越した成績を達成している。
 一方、NCAA D-IIIやNAIAに属する小規模私立大学では、スポーツへの参加機会を提供することで学生アスリートを顧客として大量獲得し、授業料収入を得る「ルディ効果」追求戦略が蔓延している。指導者にリクルートノルマが課せられる傾向が顕著となり、おとり商法的な勧誘などの倫理的懸念が生じている。さらに、大学財務における施設の維持管理費および指導者の人件費の増大、そしてアスリート由来授業料への過度な依存は当該大学の財務構造を脆弱化させる傾向にあり、近年の相次ぐ小規模私立大学の経営破綻の一因となっている。2025年のハウス対NCAA訴訟の和解によりこの状況はさらに不安定化すると予測されており、教育的誠実性を欠いたルディ効果追求は大学の存続に重大なリスクをもたらすものと予想される。

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