Presentation Information

[会員企画3-1]欧州のプロサッカークラブにおける「サポーター・オーナーシップ」の現在The UK Football Governance Act and the German 50+1 Rule

*Futoshi Kamasaki1 (1. Meiji University)
PDF DownloadDownload PDF
<演者略歴>
筑波大学大学院で修士号(スポーツ科学)、広島大学大学院で博士号(教育学)を取得。現在、明治大学法学部教授、同大学院教養デザイン研究科博士課程前期・後期課程担当。2026年8月に『プロスポーツのビジネスと地域社会―日欧のコモン・セクター―』を刊行予定。
1992年のプレミアリーグの開幕、1995年のボスマン判決(契約満了後の選手に移籍の自由を認められた)によって欧州のクラブサッカーは大きく変容した。グローバル化したのは、放映権やクラブの収益構造だけではない。欧州への資本の集中が移籍市場をグローバル化させると同時に、選手人件費の高騰がクラブの所有者もグローバル化させた。つまり、欧州のクラブを世界中の資本家が所有するようになっているのである。
 こうした市場化の必然的な帰結として、2021年にはスーパーリーグ構想が提案されている。FCバルセロナやマンチェスターユナイテッドなど、欧州を代表する20クラブで新リーグを結成しようとする動きである。この構想はしかし、プロサッカークラブの「地域性(ローカリティ)」の喪失に憤っていたサポーターたちの鬱憤を爆発させ、欧州各地でのプロテスト運動を誘発した。こうした反発を背景に、2025年にイギリスで可決されたのが「フットボール・ガバナンス法」である。
 この法律の成立過程ではドイツの「50+1ルール」がモデルとして参照されている。「50+1ルール」は、クラブの所有権が誰に渡ろうとも、クラブの重要事項に関する議決(運営に関する決定)をサポーターの投票にゆだねる規定である。つまり、ドイツでは―例外を除き―すべてのクラブが「サポーター・オーナーシップ」のもとで運営されている。しかしもその議決機関である総会は、必ず地元の地域で開催されるため、実質的な議決権は地域住民にある。つまり「コミュニティ・オーナーシップ」を実現させているのである。小澤報告で示されるように、スペインのソシオ制度は多くのクラブで機能不全に陥っている。スペインとドイツの違いはどこにあるのか。本報告では、地域資源を管理する「コモンズ(共同所有)」の視点からドイツの「50+1ルール」を再考する。

Comment

To browse or post comments, you must log in.Log in