講演情報
[12]東日本大震災後の小規模防災集団移転団地造成集落の居住実態に関する研究石巻市半島沿岸部を対象として
○吉田 萌花1、荒木 笙子3、山梨 裕太4、苅谷 智大2、姥浦 道生2 (1. 大成建設株式会社、2. 東北大学災害科学国際研究所、3. 岩手大学農学部、4. 東北大学大学院工学研究科)
キーワード:
防災集団移転団地、居住実態、漁業集落、防災集団移転促進事業、東日本大震災、宮城県石巻市
本研究では、東日本大震災後最も多い地区で防集事業が導入された宮城県石巻市の、半島沿岸部の防集団地が造成された集落を対象に、立地条件、住民属性、漁業実態を踏まえた上で住宅形態別の居住実態とそれに影響を与える要因を明らかにし、事前復興や災害復興における今後の防集団地の計画について示唆を得ることを目的とする。自力再建宅地は、基本的に集落に被災前から居住していた世帯が居住しており、特に漁業継続のための中心的な役割を担っていることが明らかになった。災害公営住宅は、入居世帯の約85%が被災世帯で、拠点性や漁業規模、戸数規模の大きい防集団地ほど、住宅ストックが限られる半島沿岸部において移住者の居住場所として機能していることが明らかになった。これらのことから、今後の過疎地域における防集事業の計画への政策的な示唆として、居住希望調査を綿密に実施した上で戸数を決定するような住宅ストックが限られる地域においては、災害公営住宅が将来的な移住者の居住先として機能する可能性が挙げられる。
