講演情報
[19]日本における高温多湿な気象条件が食料品の購買行動に与える影響の基礎的分析
○張 沢立2、吉田 凜、田沼 宏行2、田中 健一1 (1. 慶應義塾大学、2. 慶應義塾大学大学院)
キーワード:
気象条件、購買行動、食料品、アクセシビリティ
我が国における近年の夏季の猛暑は一層深刻化しており,国民生活に甚大な影響を及ぼしている.猛暑時に人々が外出を控える行動は,都市における生活ニーズの充足に関わる重要な社会問題と位置付けられる.なかでも食料品は最も基本的な生活必需品であり,食料品へのアクセスの確保は都市生活の維持に不可欠である.本研究では,日本全国を網羅する食料品の日付情報を有する購買履歴データを活用し,気温および湿度データに基づき不快指数を算出し,高温多湿な気象条件が人々の購買行動に与える影響を明らかにする.不快指数が特に高い日と低い日をグループとして抽出し,両者の特徴を都道府県別に整理した結果,購買回数において,両グループ間に顕著な差異がみられた.また,不快指数の高低差が激しい北日本の地域ほど,購買傾向の差異が大きいことが明らかになった.本研究の成果は,猛暑時における食品アクセシビリティの課題を考察する上での基礎として,今後の研究の発展に向けた有益な示唆を提供するものと考える.
