講演情報

[21]歩行からみた通過量モデルの構築と都市空間の数理的評価

○田中 健一1 (1. 慶應義塾大学)
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キーワード:

歩行者、格子状都市、通過量、空間設計

近年,歩行者が快適で安全に暮らせる活気あるまちづくりを目指す議論が盛んである.また,都市計画学においても歩行を促す都市空間の評価や設計に関して,実都市の事例に基づく有益な知見も蓄積されつつある.一方で,現実を抽象化した数理モデルを構築し,歩行からみた都市空間の評価やインフラ適正配置を追求する試みは乏しい.本研究では,格子状網を有する矩形都市における様々な地点間の移動を想定し,歩行により移動する確率が,移動距離に対して指数関数的に減衰する構造を仮定し,各地点における歩行者の通過量を解析的に導出する.この結果は,連続近似モデルを用いた都市内の都市内通過量モデルを,徒歩と車両の交通手段選択を考慮して一般化したモデルと位置付けられる.さらに,歩行者の安全性や移動の快適性を評価する指標として,同一方向における歩行通過量と車両通過量の積を計算し,両者の交錯機会をモデル化する.これを都市全体で合計した値は,トリップに歩行と車両が一定程度以上を占める都市で大きな値を取り,空間設計において,歩行者の安全性や快適性を確保する工夫が必要であることを示唆している.