講演情報

[34]都市水辺空間としての調整池が持つ生活・文化機能に関する研究- 柏の葉アクアテラスと従来型調整池の比較を通じて -

○大久保 誓也1、越智 雄大1、三牧 浩也2、小野 悠1 (1. 豊橋技術科学大学 、2. 柏の葉アーバンデザインセンター)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

調整池、柏の葉アクアテラス、生活・文化機能、共分散構造分析、都市水辺空間

調整池は本来、防災機能を中心に設計されるインフラであるが、都市住民にとっての生活や文化的価値も担いうる存在である。本研究では、千葉県柏市の「柏の葉アクアテラス」を主対象とし、立ち入りができない従来型の調整池を比較対象とすることで、人々がアクセスできる調整池が都市住民の生活や文化に果たす役割を「生活・文化機能」として定義し、その実態と評価構造を明らかにした。住民アンケート(有効回収数464件)をもとに、数量化Ⅲ類・クラスター分析により3つの生活・文化機能を抽出した。その結果、調整池は身近な活動を支える基盤的価値、交流や学習を通じた社会的価値、水辺環境を活かした自然的価値を内包する空間であることが示された。さらに、共分散構造分析の結果、「知識・利用」→「必要性」→「愛着」→「評価」という段階的プロセスが統計的に有意であり、とくに調整池としての意味の理解が住民の愛着や評価に深く関与していたことが明らかとなった。本研究は、調整池を防災と文化の両面から再評価する視点を提示し、都市水辺空間整備に対して新しい概念的枠組みを提供するものである。