講演情報

[68]属性による賃貸住宅選びの条件の違いとその賃料への影響に関する研究—性別及び子どもの有無に着目して—

○土屋 泰樹1、高野 詩菜1 (1. 富山大学)
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キーワード:

賃貸住宅、ジェンダー、子育て、アンケート調査、賃料

本研究は、webアンケート調査のデータを用いて、賃貸住宅選びの際に重視する観点や条件が性別や子どもの有無によってどのように異なるかを検討したものである。子どもをもつ場合、独立洗面台、防犯設備、駐車場、階数などの条件を求める傾向がある。また、女性は子どもの有無にかかわらず、防犯性を重視している。これらの条件は、選択可能な住宅の範囲を大きく狭め、賃料を上昇させる。次にヘドニックアプローチを用いたモデル分析を行い、立地や築年数を考慮しても、家賃が5〜10%高いことが明らかになった。その結果、女性や子育て世帯にとっては経済的負担が大きくなり、なかには安全性や快適性を犠牲にせざるを得ないことも想定される。政府が掲げる「子どもを産み育てやすく良質な住宅の確保」という目標を踏まえると、本研究の結果は経済的支援の必要性や公営住宅へのこうした設備の導入を示唆している。