講演情報
[89]住民と関係人口が捉える「地域らしい景観」とその認識背景長野県小布施町を対象として
○宮本 千央1、新 雄太2、髙橋 俊哉3、野口 佑芽2、小泉 秀樹2 (1. 三菱地所株式会社、2. 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻、3. 東京建物株式会社)
キーワード:
地域らしさ、景観評価、景観解釈の構造、関係人口
本研究は、長野県小布施町を対象に、住民と関係人口が捉える「地域らしい景観」の共通点と差異を、景観要素及びそれらに対する認識背景から明らかにすることを目的に、インタビュー調査・分析を行う。異なる土地利用においても両者に共通して「小布施らしい」と認識される景観要素としては、地域の気風や産物が表出した建築物、豊かな農緑地、それらの調和が挙げられた。これらを「小布施らしい」と感じる背景には、地域の産物や気風に基づく特定の地域イメージの共有が影響していることが示された。また、住民と関係人口の差異として、住民は日常的な生活経験や地域知識を背景に、個別の場所や景観構成要素の集合として景観を捉える傾向がある一方で、関係人口は他地域との比較を通じて、小布施全体の印象として景観を把握する傾向が示唆された。今後、継続的な訪問者や関係人口・移住者の増加を目指す地域における景観計画の策定において、住民と関係人口の双方に共通して「地域らしい」と認識される要素を重視しつつ、関係人口が持つ他地域との比較による視点を取り入れることで、地域内外の人々を惹きつける魅力的な景観づくりが可能となると考えられる。
