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[105]伝統的工芸産地における事業所立地の変化に関する分析-越前漆器産地・鯖江市河和田地区の事例-

○近藤 智士1、堀江 太誠2 (1. 福井工業大学経営情報学部、2. 福井県土木部)
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キーワード:

産業集積、産業立地、伝統工芸、産地、市街地

本研究では1998年から2024年における河和田地区内の漆器関連事業所数と立地場所の変遷を工程別,地区別に明らかにした.河和田地区全体では1998年から2024年にかけて事業所がほぼ半減した.工程別では塗りや加飾工程が特に減少が著しい.一方で,木地,塗装工程や販売については全体に対する割合が上昇した.集落別ではとくに丸物塗り工程の多かった片山町では事業所が1/3以下,西袋町では1/2程度に減少している.一方,河和田町においては,昭和通り沿道で販売に関する事業所が立地しており,集落内においては角物塗りや加飾工程の立地が維持される傾向にある.また,角物木地の立地が多い莇生田町でも生産機能を維持している.地区内においては1970年代から80年代にかけて土地区画整理事業と県道の新設が行われ,事業規模拡大を図る事業所の移転や塗装工程の新設事業所が立地し,既存の産業集積と連坦した産地が維持できた.業務用漆器に対する需要が堅調に推移するなかで,地区内では土地利用の再構成が進行した.