講演情報
[118]想定災害の有無に着目した基礎自治体における防災都市づくりに関わる計画の策定実態
○酒見 聖矢1、石橋 知也1 (1. 長崎大学大学院)
キーワード:
防災都市づくり、事前復興まちづくり計画、南海トラフ地震、気象系災害、宮崎県、長崎県
大規模災害のリスクが高い地域では、地震・津波災害に特化した事前復興計画の策定が局地的に展開されている。本研究は、「南海トラフ地震防災対策推進地域」に指定される市町村と未指定の市町村を対象に事前復興まちづくり計画の策定の実態を調査し、指定の有無による取り組みの差異や気象系災害に関する事前復興の準備状況、および事前計画の内容調査による計画の特徴や傾向を分析した。その結果、想定災害のある自治体は事前計画策定に積極的である一方、想定災害のない自治体は消極的な傾向が見られた。さらに、種類に関わらず災害を具体的に想定することが、事前計画の策定に向けた第一歩になっている可能性を指摘した。今後の課題として、気象系災害も含めた実効性の高い事前計画の策定プロセスについて研究を進めていくことが挙げられる。また、大規模災害の発生が想定されない自治体の中には、将来の都市構造の検討が十分に進められていない自治体もあると考える。そのため、事前計画を契機として将来の都市構造の検討が進展している自治体を把握し、その実態を明らかにすることも重要であると考える。
