招待講演
世話人から提案され,行委委員会が承認したトピックセッション招待講演者(予定も含む)をご紹介します.講演時間は変更になる場合があります.
S1.「古生代世界」の新視点
高畑直人(東京大学,非会員)
上松佐知子(筑波大学,会員)
上野勝美(福岡大学,会員)
武藤 俊(産業技術総合研究所,会員)
内野隆之(産業技術総合研究所,会員)
Julien Legrand (静岡大学,会員)
尾﨑和海(東京科学大学,非会員)
今田弓女(京都大学,非会員)
中島保寿(東京都市大学,非会員)
西田治文(中央大学,非会員)
T1.テクトニクス
末岡 茂(日本原子力研究開発機構・会員)30分 末岡会員は、東北および中部日本を対象とした熱年代学的研究により、島弧内の山地形成過程の時空間発展の理解に大きく貢献してきた。そこで本講演では、末岡氏のこれまでの研究成果を中心に、沈み込み帯火山弧内部における山地形成テクトニクスとその力学的背景について議論していただくことを目的として、招待講演者として選定した。
T2.手取層群―150年の研究進展とこれから―
佐野晋一(富山大学・会員)30分 佐野会員は、手取層群(広義)の既存研究を総括し、層序区分や産出化石,時代論を体系的に整理して東アジアにおける地史的意義を明確化してきた。特に,生物相の国際比較を通じて同層群を東アジア規模で重要な堆積盆の一要素として位置づけている。佐野会員から手取層群の研究の現状を体系的に共有されることで,同層群の国際的研究意義に関する理解の深化が期待される。
竹内 誠(名古屋大学・会員)15分 竹内会員は、詳細な野外調査に基づき数多くの地質図幅作成に携わり、飛驒山地の手取層群研究で大きな成果を挙げてきた。
特に、薬師岳などの高山地域の手取層群の堆積相解析や礫種解析、鉱物の化学分析から後背地変遷や堆積盆形成を解明しており、富山県東部の中生界の再定義も行っている。本講演から高山地域の手取層群を中心とする後期中生界研究の深化に資することが期待される。
T3.岩石・鉱物の変形と反応
永冶方敬(早稲田大学・会員)30分 永冶会員は,ウェッジマントルにおける蛇紋石の結晶配向および変形様式,ならびに脱水反応に伴う組織形成について,野外調査・室内実験・地球物理観測を統合した比較研究を通じて精力的に研究を展開してこられた.本講演では,ウェッジマントルの変形様式とその空間的広がりに関する最新の知見をご講演いただく予定である.
吉田一貴(高エネルギー加速器研究機構・会員)15分 吉田会員は,海洋リソスフェアにおける主要な加水反応である蛇紋岩化反応のメカニズムについて,数値計算および天然岩石解析を通じて,反応と破壊が連成する動的過程を明らかにしてきた新進気鋭の若手研究者である.本講演では,オマーンオフィオライトを代表例として,蛇紋岩化反応に伴う鉄の酸化還元挙動と水素生成に関する最新の知見をご講演いただく予定である.
T4.変成岩とテクトニクス
小澤 創(東京大学地震研究所・非会員)30分 小澤氏は,断層の幾何学的複雑性や流体の影響を考慮した数値シミュレーションによって,断層形成から地震発生,その時空間的発展の素過程の解明に取り組む研究者である.主に境界要素法と速度・状態依存摩擦則を用いたシミュレーションを発展させ,非平面断層や断層面の粗さ,屈曲構造が地震核生成や破壊の伝播,余震分布に与える影響を明らかにしてきた.
伊藤泰輔(東京大学・会員)30分 伊藤会員は,岩石から沈み込み帯の熱構造を読み解く研究を展開している.エクロジャイトの温度圧力履歴の解読に不可欠な単斜輝石中のFeの酸化還元状態に着目し,放射光micro-XANES分光法による精緻な定量手法を確立した.本講演では,この新手法による三波川変成帯のエクロジャイトの温度圧力条件の再評価結果と,それに基づく沈み込み帯の熱構造に関する最新の知見が提供される.
T5.白亜紀~古第三紀沈み込み型テクトニクスの総括と展望
竹内 誠(名古屋大学・会員)30分 竹内会員は,紀伊半島の領家帯深成・変成岩類や三波川帯変成岩類を対象とした地質調査とジルコン年代学の統合的研究により,東アジア東縁部沈み込み帯における後背地の変遷およびテクトニクスの理解に大きく貢献してきた.本講演では,竹内氏のこれまでの成果を基に,島弧での火成活動から海溝域での堆積,さらにはプレート境界深部での高圧変成作用までの広い視点でテクトニクスを議論いただくため,招待講演者として選定した.
中村佳博(産業技術総合研究所・会員)30分 中村会員は,赤石山地の領家帯・三波川帯の変成岩類および四万十帯付加体を対象に,地質調査とEBSD・ラマン分光分析による研究を行い,沈み込み帯での高温・高圧変成作用や中央構造線に伴う構造運動に新知見を示した.本講演では,これらの成果を基に,沈み込み帯深部の変成・変形作用と海嶺沈み込みとの関係について議論いただくため,招待講演者として選定した.
T6.沈み込み帯・陸上付加体
白石和也(海洋研究開発機構・非会員)30分 白石氏は昨年度のScientific Reportsに掲載された論文において、南海トラフ全域にわたる沈み込み基盤形状を高密度地震探査データに基づき統合的に解明し、地震活動の空間的不均質性との関係に新たな制約を与えた。特に、基盤地形と巨大地震・スロー地震分布の対応関係を示した成果は、沈み込み帯から陸上付加体に至る変形過程の理解に大きく貢献しており、本セッションに極めて適した講演である.
T7.マグマソース・マグマ供給系から火山体形成・熱水変質まで
岡本 敦(東北大学・会員)30分 岡本会員は、岩石学および水熱反応科学を専門とし、地殻やマントルにおける交代作用、変質作用、鉱物の溶解・析出現象など、地球内部の様々な岩石―流体反応に関する研究について顕著な業績を挙げている。本セッションテーマのうち、特に熱水変質に関連する研究について紹介していただく。
T8.大学教育
坂口有人(山口大学・会員)30分 2026年2月に公表された中教審答申では,学生の能力向上や18歳人口の減少に伴う大学規模の適正化を実現する手段として,文理融合型のレイトスペシャライゼーションが強調されている。しかし,この流れは,全国の地質系学科・コースの消滅につながる可能性もある.坂口氏は,これまでの中教審答申の流れに精通しており,大学における地学教育の在り方や今後の対応策を議論する本TSの基調講演者としてふさわしい.
T9.原子力と地質科学
天野由記(日本原子力研究開発機構・非会員)30分 天野氏は、日本の地下研究施設を活用し、地下環境に豊富に存在する微生物の働きを、ゲノム解析により包括的に解明することに取り組んでいる。岩石の種類により微生物種は異なるが、主要な働きは共通であり、ゲノム変異の解析から地下環境の長期安定性も把握可能であることが明らかになってきた。これらの知見は高レベル放射性廃棄物の地層処分など、地下空間の利活用に有用な情報となる。
立石 良(富山大学・会員)30分 立石会員は、地質調査会社在籍時に原子力発電所の断層関連調査・評価に携わり、現在は富山大学において活断層/非活断層の識別に関する研究を継続している。原子力における活断層の定義や断層活動性評価の課題について、実務経験と最新の学術的知見の双方から議論できることから、招待講演者として選定した。
T10.海洋プレート・オフィオライト研究の最前線
赤松祐哉(海洋研究開発機構・会員)30分 赤松会員は,オフィオライトや海洋下部地殻・上部マントル岩石を対象に,岩石物性測定やデータ科学的手法を組み合わせた研究を展開し,蛇紋岩化作用や流体移動が岩石物性や地球物理観測に与える影響の解明に大きく貢献している.マントル岩石の変質過程と岩石物性の関係を明らかにする研究は,本セッションが対象とするマントル構造岩石学の発展に重要な知見を提供することから,招待講演者として選定した.
T11.都市地質学:自然と社会の融合領域
秋山泰久(国際航業株式会社・非会員)30分 秋山氏は,全国地質調査業協会連合会の情報化委員会委員長としてBIM/CIM対応等,地質調査業を取り巻くDXの推進に取り組んでおり,業界団体を代表して地質情報の利活用および社会実装を主導している.そのため本セッションの招待講演者としてふさわしい.
T12.堆積地質学の最新研究
中西 諒(産業技術総合研究所・会員)30分 中西会員は,津波堆積物やタービダイトの解析に加えて,数値シミュレーションなども活用しながら地震・津波に関わる多様な研究に取り組んでいる新進気鋭の研究者である.近年はその研究成果を国際誌に次々と発表するなど,当該分野において精力的に研究を展開している.本招待講演ではこれまで精力的に進められてきた北海道の津波堆積物研究に関する研究をご紹介いただく予定である.
佐久間杏樹(東京大学・会員)30分 佐久間会員は,日本,中国,オーストラリアの陸成層中に見られる炭酸塩岩に着目し,古気候などの解明に取り組んでいる若手研究者である.最近では,長年未解決であった「ドロマイト問題」に対して新たな視点からアプローチをされており,本招待講演ではその研究成果について,ご紹介いただく予定である.
13 極域研究の最前線
山本正伸(北海道大学・ 会員)30分 山本会員は,北極海の海底堆積物を対象とした古海洋・古気候研究で国際的に高く評価されている研究者である.地球化学プロキシや堆積物解析に基づき,完新世の急速な堆積過程や気候イベント,さらにはローレンタイド氷床の融水流出履歴を明らかにするなど,北極海の環境変動史の解明に顕著な業績を挙げている.今大会では,過去1000年間の環境変遷解明を目指すARCS III-HAPPI計画の最新研究成果を中心に講演頂く.
鈴木克明(産業技術総合研究所・会員)30分 鈴木会員は,湖沼・海底堆積物を用いた古環境・古気候復元研究を専門とし,水月湖堆積物による完新世の極端降水・洪水イベント復元や,別府湾堆積物による人新世境界候補層序の検討などで成果を挙げている.今大会では,昨年度の第67次南極地域観測隊で行った,東南極のリュツォ・ホルム湾およびトッテン氷河沖での海底堆積物採取をはじめとする調査の速報と今後の展望について講演頂く.
14 文化地質学
青木賢人(金沢大学・非会員)30分 自然地理学の立場から,自然環境と人間社会の持続可能な共生のありかたについて研究・教育をしている.近年は,白山手取川ジオパークや白山ユネスコエコパークを通じた環境理解や環境共生社会の構築,能登半島地震をはじめとした自然災害に対する住民の理解や行動の分析を通じた「住み続けられる地域づくり」に取り組んでいる.
桐本泰一(輪島漆再生プロジェクト実行委員会・非会員)30分 石川県輪島市の伝統産業で,国の重要無形文化財にも指定されている「輪島塗」,日本を代表する漆器の一つです.桐本氏は大学でプロダクトを専攻,企業でオフィスプランニングに携わった後,輪島に帰郷.木地業の弟子修行を4年半行い,木地業からの造形提案,デザイン提案,漆器監修などを始める.輪島塗を仕上げるまでの工程の紹介や,この地域特有の地質との関連などについて講演いただきます.
15 大地と人間活動を楽しみながら学ぶジオパーク
無し
16 地域地質・層序学:統合的理解
山田来樹(産業技術総合研究所・会員)30分 山田会員は古期岩類から第三系まで幅広い地質体に取り組む入念な若手研究者である.氏が取り組んでいる北陸の前期中新世の陸成層はその上位の海成層に比べて年代が出にくいこと,火山岩と陸成砕屑岩で岩相が変化に富むことから研究者の精密な理解を拒んできた.それを氏は稠密な岩相解析と年代測定と化学分析を通して包括的に理解することに成功した.このことは今後の若手のロールモデルとなるものである.
17 西南日本の火山テクトニクス
岩森 光(東京大学・会員)30分 岩森会員は地球化学、地球物理学データ、数値モデル計算を統合して、プレート沈み込み帯や流体のマントルへの寄与、その結果としてのマグマの発生の有無さらには深部流体が地殻変動や地震発生に及ぼす影響を指摘するなど、沈み込み帯の火山テクトニクスを理解する上で欠かせない非常に重要な研究成果をあげている。以上のことから、本セッションに最適の人物の一人である。
芝崎文一郎(建築研究所・非会員)30分 芝崎氏は山陰のひずみ集中帯に非線形粘弾性とモール・クーロン塑性を考慮した有限要素法解析を適用し、火山分布域の不均質な熱構造場での横ずれ応力場において、高い地温勾配域に剪断帯が形成されることを明らかにした。これは火山地域におけるひずみ集中帯の発達過程を論じる上で重要な成果である。このことから、本セッションに最適な人物の一人である。
18 地球史
大山 望(福井県立大学・会員)30分 大山会員は,古・中生代の化石昆虫を対象とした古生物学的研究に取り組み,日本および東アジアにおける昆虫相の進化史や古生態の解明を進めている.とくに三畳紀〜白亜紀の昆虫化石群集の研究では,記載分類や形態解析を通じて,多様性や生態系構造に関する新たな知見を提示している.また,日本各地の昆虫化石産地の調査を進め,地域の古生物相の理解にも貢献している.本講演では,最新の成果を踏まえて研究を紹介していただく.
沢田 輝(富山大学・会員)30分 沢田会員は,自らの野外調査に基づく試料採取と鉱物化学分析を組み合わせた研究を展開している.ジルコンなどZr鉱物の年代学・微量成分分析を軸に,ローカルな地体構造発達史やグローバルな大陸地殻消長史の解明に取り組んできた.近年はより多角的に様々な副成分鉱物の利用方法や、露頭スケールの地質記録の解読方法の開拓を進めている.本講演では最新の成果や将来の地質研究の方向性を紹介していただく.
