講演情報

[R1-07]電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)の中間型固定不感時間回路の開発

*加藤 丈典1 (1. 名古屋大学)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

不感時間、比例計数管、波長分散型分光器、電子プローブマイクロアナライザー (EPMA)

電子プローブマイクロアナライザーに搭載されている波長分散型分光器(WDS)では、通常、比例計数管がX線検出器として用いられている。比例計数管は非拡張型の不感時間を有し、これにより入力X線光子の一部が数え落とされる。したがって、観測されたX線計数率と不感時間の情報から真のX線計数値を推定する不感時間補正が必要となる。
 この不感時間補正に用いる不感時間は分光器ごとに固有であり、かつ経年変化するため、正確なX線分析のためには、定期的にすべての分光器の不感時間を測定しなければならない。そこで、本研究では不感時間が0.8 – 1.8 usの間で変化しても、計数率200 kcps以下であれば1%以下の誤差で固定の不感時間として扱える回路を設計した。
 EPMAではマッピング測定のように計数時間が短い(例えば1ms)場合があり、かつ、低い計数率の時でも必要なパルスを確実にカウンターに到達させる必要がある。すなわち、長時間測定や高計数率であることを前提とすることができない。そのため、出力パルスは入力パルスに同期して発生させるゲートロジックを採用した。具体的には、波高分析器とX線カウンターの間に3段の中間型不感時間発生回路を挿入し、その不感時間および拡張型・非拡張型の比率を個別に設定可能にすることで、中間型固定不感時間回路を実現した。
 この構成により、従来の方法(Diamond, 1965; Kato et al., 2018など)と比べて、中間型不感時間の形状をより正確に再現できた。さらに、Ida & Iwata (2005)の近似式で不感時間補正を行うために用いるパラメーターも同時に求めた。6つの中間型不感時間回路のパラメーターとIda & Iwata (2005)の不感時間補正で用いる2つのパラメーター、計8個についてモンテカルロシミュレーションによる総当たり探索を実施した。

引用文献Diamond, J.M. (1965) Nuclear Instruments and Methods, 36, 293.
Kato, T., Suzuki, K., Jeen, M.-J. and Minami, M. (2018) Chemical Geology, 484, 16.
Ida, T. and Iwata, Y. (2005) Journal of Applied Crystallography, 38, 426.

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン