講演情報

[1C03]援助が生み出す格差:地域研究からの国際協力の再構築に向けて

*友松 夕香2、*絵所 秀紀2、*寺内 大左4、*麻田 玲1、*網中 昭世3、*山形 辰史5 (1. 山口大学、2. 法政大学、3. アジア経済研究所、4. 筑波大学、5. 立命館アジア太平洋大学)

キーワード:

援助、格差、フィリピン、インドネシア、スリランカ、モザンビーク

1. 企画の背景
20世紀後半以降、低所得国とそこで暮らす人びとは、国際協力として他国から資金・技術支援を受ける対象となってきた。これら援助事業は、現地に「低開発」という問題を見出し、経済成長や貧困削減、民主化を目標に掲げてきた。しかし、21世紀に入ると、低所得国の人びとの生活水準は向上したといわれる一方で、グローバル・国内レベルで人びとのあいだの資源や制度的なアクセスの格差が顕在化するようになった。他国や国際機関による援助事業は、こうした格差拡大にどのように作用してきたのだろうか。

2. 主要な論点本企画セッションでは、農業・財政・民主主義をテーマに、国際協力と格差拡大の関係を検討する。この際に注目するのは、援助政策やその効果のマクロデータだけではなく、国際協力に対する農村部の人びとや都市部の若者たちのつぶやき、評価、抗議といった一般社会に広がる「周縁」や「裏」の声である。主な論点になるのは、①国際協力は誰の視点で誰の問題をどのように語り、どう解決してきたのか、②またこうした国際協力の政策・事業介入に対し、一般の人びとはどのように反応し、順応したり抵抗してきたのか、という2つの問いである。

3. 期待される成果
本企画ではフィリピン、インドネシア、スリランカ、モザンビークの事例を扱う。国際協力が格差を再生産したり、格差を生み出す権力関係を再構築したり、また固定化してきた問題を21世紀の文脈で掘り下げて見直すことで、今後の国際協力のありかたを再構築することが本企画の目的である。

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