講演情報

[1E01]未知の地域社会をどう紐解くかー開発現場で立ち上がる問いを手がかりに

*伊藤 純子4、*重冨 真一2、*秋吉 恵1、*一栁 智子5,1、*八田 早恵子3,6 (1. 立命館大学、2. 明治学院大学、3. 日本福祉大学、4. 特定非営利活動法人 パルシック、5. 徳島大学、6. 名古屋学芸大学)

キーワード:

地域社会の把握、フィールドワーク、問いの立て方、開発実践、若手研究者の視点

国際開発の実践や調査の現場では、研究者やNGO職員などが「見知らぬ地域社会」と初めて出会い、限られた時間と資源の中でその構造や特性を把握しようとする場面が少なくない。しかし、文化や制度の枠組みが自明ではない他者の社会を前にしたとき、私たちは何を手がかりに地域社会を「大づかみ」しようとするのか。本ラウンドテーブルでは、こうした根源的かつ実践的な問いを共有し、「未知の地域社会をどう紐解くか」というアプローチそのものを参加者とともに議論する。
導入では、東ティモールで農民組織化の実践に携わってきたNGO((特活)パルシック)職員が、現場において何が「分からなくて困った」のか、どのように地域社会の姿を捉えようとしてきたのかを率直に語る。続いて、NGOの働きかけとそれに対する住民の組織的反応から、地域社会の仕組みがどのように読み取れるのかを、東ティモールにはじめて足を踏み入れた農村研究者が論じる。さらに、調査に同行し調査過程を詳細に観察した研究者が、第3者の立場から、上記の調査で見えたもの、見落としたものを整理し、地域社会の捉えにくさとどう向き合ったのか、そこから見えた課題を提示する。
上記の議論を受けて、自身のフィールドで「地域社会をどう捉えるか」という問いに格闘しつつある若手研究者たちが、それぞれの現場との重なりやズレを手がかりに応答することで、「問いの拡張」を試みる。聴衆としては、これから海外調査や実践に携わろうとする若手研究者やNGO関係者を想定している。テクニカルな調査手法の交流に留まらない、「地域社会を知ろうとする営みそのもの」に立ち戻る、開かれた対話の場としたい。

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