講演情報
[1I11]インドネシアにおける地方気候変動適応政策に対する援助プロジェクトの比較研究
*森本 佳月1 (1. 法政大学)
キーワード:
気候変動適応、政策主流化、地方開発計画、開発プロジェクト、インドネシア
本研究は、インドネシアを対象に、日本環境省(MoEJ)が地方レベルの気候変動適応策策定を支援した「地方適応計画のための気候変動影響評価(Climate Change Impact Assessment (CCIA))」プロジェクトと、米国国際開発庁(USAID)が実施した「気候変動適応・レジリエンス(Climate Change Adaptation and Resilience (CCAR))」プロジェクトの二つの事例を比較し、国際援助が気候変動適応策の地方開発計画への主流化にどのような影響を及ぼすのかを検証したものである。政府関係者およびプロジェクト関係者への詳細なインタビュー調査に加え、地方中期開発計画(Regional Medium-Term Development Plan(RPJMD))や各種プロジェクト報告書の文献分析を通じて、アジェンダ設定および政策策定の各段階における適応主流化のプロセスと成果を明らかにした。 本研究は、両プロジェクトが気候変動適応への認知度向上と組織的関与の構築に貢献した一方で、プロジェクト設計における重要な差異、特に脆弱性評価、パイロット活動、ステークホルダーの関与が、適応策が計画・予算枠組みに統合される度合いに大きく影響したことを明らかにした。CCARプロジェクトでは、脆弱性評価とパイロット活動実施に、地方ステークホルダーを巻き込むことで主体性が高まり、計画や政策及び予算への統合が促進された。対照的に、CCIAプロジェクトはこれらの要素を欠いており、高度な科学的成果にもかかわらず政策への影響は限定的であった。これにより、気候変動適応策の効果的な主流化には、科学的成果だけでなく、頻繁なステークホルダーの関与、地方文脈への適合性、そしてパイロット活動を通じた効果の可視化の重要性が示された。
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