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[1K11]持続的開発論から共生的発展論へ:あらたな製造業経営論の提起

*竹野 忠弘1 (1. 名古屋工業大学非常勤講師)

キーワード:

開発、共生、発展、製造業、倫理

本報告の目的は、経済開発論の限界を指摘し、これに代わる枠組みとして既存枠組みのかいぜん・改良として内部革新を図る、共生的発展論を提起する。従来の経済開発論では、既存の経済活動の枠組みをそのままにして成長の持続を図ろうとして、問題解決を外部の開発改造に求めてきた。これに対して、本報告では、⑴土着の生活品需要の充足をめざす(「後工程取り」)生産にむけた、⑵当該産業の伝統的作業のかいぜん、⑶既成の手持ちの道具の改良、そして⑷こうした既存の各種の産業資源に外部のそれをあらたに融合・添加する技術革新・Innovation志向により、⑸効率(efficiency)の向上を図るための戦略的経営の普及・育成を提起する。すなわち、従来の経済開発政策が、⑴輸出需要/Global needs市場への供給を目的に、⑵単純ながら身体的・精神的負荷の大きな、外部の指示に従った作業、⑶海外の先端設備の輸入、そして⑷既存の地場の産業の構造やあり方の破壊の上に新規で異質な先端技術を投入(instore)して改造(development)を図り、⑸投資母国側のありかたの効果(effect)のおよぶ領域を広げる・成長(growth)させる政策とは逆のものとなる。したがってシュンペーターのInnovationについても、従来の経済開発論や持続的成長論が既存の制度や経営資源の破壊・断絶を強調し待望するのに対して、新旧の経営資源の結合(combination)・連続性に着目する。本報告で提起したい経営論は、中部地区で自動車製造業において展開されてきた「後工程取り・かいぜん」という経営方法である。具体的には、特定の国内消費財むけの地場(Local)企業の作業現場での「生産効率向上=一定効果・生産物実現のためのコスト軽減」における、⑴作業かいぜん、⑵道具の改良、⑶技術の新結合(combination)・革新という経営活動の適用可能性および適用効果ついてマレーシアの製造業事例を分析することによって検討する。

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