講演情報

[1L09]ケイパビリティ・アプローチに基づく障害女性のアクセシビリティ評価―バングラデシュの外出/在宅活動調査(第1回)―

*金澤 真実1,2 (1. 上智大学、2. 帝京大学)

キーワード:

障害、女性、障害女性、アクセシビリティ、ケイパビリティ・アプローチ

本研究は、ジェンダーと障害の交差性により複合的な不利益を被っているバングラデシュの障害女性を対象に、外出および在宅活動の双方におけるアクセシビリティを、ケイパビリティ・アプローチの枠組みに基づいて多面的に評価することを目的とする。2025年4月に、障害女性当事者団体を通じて障害女性41名および非障害女性39名を対象に第1回調査を実施し、新たに作成した「Out-In Capability Index(OICI指標:バングラデシュ障害女性版)」を用いて、利用能力(困難経験)と達成機能(生活の充実度)との比較分析を行った。その結果、障害女性は非障害女性に比して利用能力が有意に低く、特に在宅場面において環境的・対人的困難が顕著であることが確認された。また、自宅においても「安心」という機能の達成が十分でない事例が認められ、家庭内に潜在する社会的・文化的障壁の存在が示唆された。さらに、障害女性間のケイパビリティには顕著な個人差がみられ、単一指標によって生活実態を包括的に捉えることの限界が明らかとなった。今後は、継続的な量的・質的分析を通じて障害女性特有の困難構造を理論的に解明し、政策形成への示唆を導出することを課題とする。

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