セッション詳細
【一般公募企画8】身体的拘束最小化の取り組み課題と対応
~入院基本料の通則と看護関連の施設基準管理をめぐって~
2025年9月13日(土) 16:20 〜 17:20
第4会場
座長:福井 トシ子(国際医療福祉大学大学院教授)
企画代表者:和田 幸恵(日本施設基準管理士協会事務局)
講師:吉川 朱実(宗像水光会総合病院看護部長)
土屋 恵美子(横浜市立市民病院副病院長・看護部長)
企画代表者:和田 幸恵(日本施設基準管理士協会事務局)
講師:吉川 朱実(宗像水光会総合病院看護部長)
土屋 恵美子(横浜市立市民病院副病院長・看護部長)
2024年度診療報酬改定で、入院基本料の通則は「意思決定支援」と「身体的拘束最小化」の2基準が加わり7基準になった。「身体的拘束最小化の基準」では、2025年6月から「原則として、身体拘束及びその他の行動を制限する行為を行わない体制」の整備が義務化され、一般・療養等の病棟だけでなく、ICU等のユニットも対象となった。また精神科病院・精神病室のある病院は精神保健福祉法第36条、37条による処遇(行動制限)規定の遵守が要件になっている。要件を満たしていない場合は入院料が減算となる。主な要件は、身体的拘束最小化チームの設置、指針の作成、職員への定期的な研修、拘束する場合のカンファレンスや詳細な記録などで、病院全体での取り組みは必須である。患者の安全を守ることを理由とした身体の動きを抑制する従来の「身体拘束」のあり方を見直し、身体拘束が必要になる場面を減らすことで、「身体拘束を行わない体制の実現」は、「入院医療の課題」であると共に「看護の課題」である。看護職員と医師をはじめ入院医療に係る医療従事者が、共通の認識を持ち協働することが重要である。特に、「身体拘束は患者に身体的不快と苦痛を強いる」ことは理解していても「やむを得ず」身体拘束を実施する場面の多いICU・HCU・SCU、救急等の患者や認知症、BPSD、せん妄のある患者等に対して、医療機関はどのような取り組みが求められ、医療従事者はどのような対応が必要なのか、納得のいく理解が必要である。身体的拘束最小化がなぜ入院基本料の通則として義務化されたのか、その背景を再確認することが欠かせない。身体的拘束最小化の取り組みが、医療従事者の意識の変化を促すことはもとより、実践の中で生じる新たな課題などについて意見交換しながら、質の高い看護と医療の提供について、入院基本料を基盤とした経営的な視点も含めて議論する。