セッション詳細

【一般公募企画7】家族の変化を見逃さない:一歩踏み込むタイミング
関わりにくさを感じる家族への、支援のワザ・コツを共有する

2025年9月13日(土) 15:00 〜 16:00
第6会場
座長:本田 順子(兵庫県立大学地域ケア開発研究所教授)
企画代表者:加藤 智子(聖隷浜松病院看護課長)
講師:小野 美雪(淡海ふれあい病院看護課長)
   浅岡 裕子(日本福祉大学看護学部講師)
臨床において看護師は、退院支援や意思決定支援の場面で患者を含む家族に関わることが多い。その関わりの様相は、社会の変化に伴い、患者や個々の家族員の価値観が多様となり、複雑化している。世帯の縮小化や高齢者の増加、世代間分離等の課題を抱える家族の背景を理解した上で、面会時間等を活用し、患者と家族とコミュニケーションを重ね、患者にとってよりよい退院調整や支援を行い、在宅移行を実現させることが看護師に求められている。しかし、実際には、家族への支援が難しいと感じる場面も多い。
 関わりが難しい場面の一つに、家族の価値観の多様化や家族内の関係性の希薄さ、生活が変化することへの不安から、家族の看護師への訴えが強くなることがある。昨年の第55回日本看護学会学術集会では、関わりが難しいと感じる場面で、看護師が実際にどのように家族と関わっていたのか、「ケアの意味をみつめる事例研究」の手法を用い、看護師が患者・家族と関わった場面における家族看護実践の意図や目的、看護のワザ・コツを言語化し、導き出した実践知を3事例紹介した。
 今回の交流会では、その中の1事例である「認知症症状に困り在宅への退院を強く拒否する家族に対し、家族の困り事や本心を聞き出し、家族が認知症症状への対応力を向上し自宅退院できた関わり」を取り上げる。この事例では、家族が在宅への退院を強く拒否している背景に家族の困りごとがあるのではないかと聴き取り、これまでの在宅生活の大変さを語ってもらう中で家族の本心を聴き出し、関わりの中で介入のタイミングを見出し、支援を展開していった。この事例への実践を話題提供した後、参加者の皆さまと、家族と関わっている最中に介入の一つ一つのタイミングを、看護師がどのように観察して、見極めているのかをディスカッションし、臨床での困り事や、家族支援の新たな介入の糸口を見出すための意見交換を行いたい。