講演情報
[9p-N102-3]カイラル構造誘起スピントロニクス
〇戸川 欣彦1,2 (1.大阪公立大、2.QuaRC)
キーワード:
カイラリティ、カイラリティ誘起スピン選択性、カイラルフォノン
物質中の電子やスピンや格子の協奏がもたらす巨視的応答の発現は物質科学の醍醐味の一つである。その鍵となる概念の一つとして物質が示すカイラリティが挙げられる。カイラリティとは単に幾何学的な関係を意味するだけではなく、時間反転操作に対して不変な擬スカラー量によって特徴づけられ、この対称性を持つ相互作用は微視的なカイラル項として機能してダイナミクスを誘起しうる。最近、カイラル物質においてスピン角運動量やフォノンが持つ角運動量が巨大に偏極して長距離に達することが見出された。その発現機構は謎であり、関心を集めている。講演ではカイラリティ誘起スピン選択性(CISS)やカイラルフォノンなど動的な偏極現象を題材として物質中におけるカイラリティの意義を論じる。