講演情報

[2H-07]調理行動は食生活の健康格差を縮小するのか?横断研究

〇町田 大輔1 (1. 群馬大)
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キーワード:

調理、健康格差、食生活

目的:経済的・時間的なゆとりによる健康な食生活の格差を調理行動が緩和しているのかを明らかにする。方法:本研究は東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターから「食育に関する意識調査,2020」の個票匿名データの提供を受けて行った横断研究である。必要な項目に欠損のない2288人のデータを用いた。調理行動(ほとんどのものを食材から調理して食事を準備する/一部市販食品を取り入れて食事を準備する/ほとんどのものに市販品を利用して食事を準備する/自分で食事の準備をしない)と経済的・時間的ゆとり(ゆとりあり/どちらともいえない/ゆとりなし)を掛け合わせた変数を独立変数としたロジスティック回帰分析(性・年齢・就労・居住地域などを調整)を行った。従属変数は、主食・主菜・副菜のそろった食事または朝食の摂取頻度である。結果:主食・主菜・副菜のそろった食事摂取頻度が1日2回以上の者について、ほとんどのものを食材から調理して食事を準備する、かつ、経済的にゆとりがない者を基準(1.0)とした場合、ほとんどのものを食材から調理して食事を準備する、かつ、経済的にゆとりがある者は有意に高いオッズ比(1.6)を示した。しかし、同様の群を基準とした場合、ほとんどのものに市販品を利用して食事を準備する、かつ、経済的にゆとりがある者は有意に低いオッズ比(0.3)を示した。つまり、調理行動が格差を改善している傾向であった。