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[2I-05]中国の家政教育における環境教育の課題と可能性に関する検討日本の家政教育に照らして

〇周 雨1、村上 かおり1、鈴木 明子1 (1. 広島大)
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キーワード:

中国、義務教育、環境教育、家政教育

目的 持続可能な社会を実現するために学校における環境教育の充実は急務である。中国では,環境教育に関する内容を学習指導綱要に取り入れ,計画的に環境教育を行うことにより,環境教育を小・中学校で定着させた。より良い環境教育の学習環境を整えるため,教科書の環境教育内容に関する分析研究は多くなされていたが(韓:2022),家政教育において環境教育を扱った研究は少なかった。そこで,本研究では,中日の環境教育の変遷を整理した上で,家政教育に焦点を当てて,義務教育段階で扱う教科書の記述を比較分析し,中国の家政教育における環境教育の課題を検討する。
方法 中日両国の環境教育に関する文献に基づき,両国の環境教育の歴史を整理した。中国では家政教育に関する内容を取り入れた課程標準2022年版に基づいて作られた小・中学校の「労働」,「道徳と法治」と平成29年改訂学習指導要領に基づいて作られた日本の教科書を参照し,比較分析した。
結果 中国の環境教育は日本よりかなり遅れて,“応試教育”の影響で,環境に関する素質教育が省みられなかったことが多いとの報告がみられた(劉:2017)。家政教育の内容を含む教科においては,環境に配慮した内容は日本に比べ少なく,系統的に整備されていない現状がみられ,自然資源の保護に関する抽象的な目標の記載にとどまっていた。衣食住生活における具体的な環境への意識をもたせ,課題解決力を育む内容はほとんど見られなかった。