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[2I-09]幼児前期の「反抗期」現象における「迂回行動」の位置に関する文献的研究

〇寒河江 芳枝1、田中 あかり2、金田 利子3 (1. 昭和女子大学、2. 湘北短期大学、3. フェリシアこども短期大学)
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キーワード:

迂回、反抗期、直接的、間接的、要求表現、発達的変容

目的:これまで、1児の6年間の継続的観察研究により1歳代後半から3歳までの時期には間接的な要求表現が見られることを突き止め、それを「迂回行動」と呼称してきた(家政誌69巻3号)。この現象は複数の子どもにおいてもみられることを明らかにした(家政誌71巻6号)。しかし、この時期は一般的に「反抗期」あるいは「第一次反抗期」等と呼ばれ、強い自己主張や大人に対する反抗が見られるようになる時期と言われてきた(坂上, 2018)。その名称が指す時期や事象も研究者によって様々であり統一されていない(岩田,2001;森下,2016;川田,2019;坂上,2018,2020)。さらに、この名称から読み取れるように、子どもや子育てへのネガティブなイメージがあり、それ自体が親の不安をあおっているという指摘もある。 そこで本研究では、これまで反抗期と広く使われている現象を発達的に整理し、「迂回行動」の位置を明確にすることを目的とする。
方法:文献による。この時期の子どもの要求表現の変容過程を文献的研究により 「反抗期」と言われる現象の中における、これまで我々が明らかにしてきた「迂回行動」の位置を明確にする。  
結果:「反抗」というのは大人からの名称で、子どもからすると要求表現の発達的変容を意味するのであり、直接的から間接的な表現に移行する過程であり、その現象のある部分を総括して「迂回行動」と称することの必然性が示唆された。