講演情報

[2K-01]セルロースナノクリスタルを用いた綿ニット布の機能化

〇増渕 響1、小田 知美1、飯塚 茜吏1、濱田 仁美1 (1. 東京家政大学)
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キーワード:

消臭性、セルロースナノクリスタル、ニット布

目的 本研究では、セルロースナノファイバーより軸長の短いセルロースナノクリスタル(CNC)を綿ニット布に加工し、加工布の物性や消臭性能を評価し、ニットの風合いを損なわずに機能加工を行うことを検討した。
方法 脱脂綿を塩酸加水分解処理してCNCを調製し、TEMPO触媒酸化により酸化CNCを調製した。綿ニット布に酸化CNC水懸濁液を含浸させ、酸化CNC吸着量の異なる2種類の酸化CNC加工布を作製した。また、水分によるニット布の構造変化の影響を考え、比較用に水に含浸させた水処理布も作製した。未加工布、水処理布、2種類の酸化CNC加工布について、曲げ特性、圧縮特性、表面摩擦特性、引張特性、透湿性、吸湿性を測定し、気体検知管法によりアンモニアの消臭性能を評価した。
結果 酸化CNC加工布は未加工布と比べ、曲げ剛性は高くなり、引張特性では伸び率が低くなったが、圧縮特性、表面摩擦特性には大きな変化は見られず、ニット布の風合いを大きく損ねることはなかった。CNC加工により親水性の比表面積が大きくなり、透湿性と吸湿性は上昇した。また、酸化CNC加工布はアンモニアの高い消臭性能を示した。これはCNCに導入されたカルボキシ基とアンモニアの反応による。少量の酸化CNC吸着量でも十分な消臭性能が得られた。また、水処理布でも物性や消臭性能に変化が見られたことから、ニット布では水を介した処理による構造変化の影響が大きいと考えられる。