講演情報

[2K-04]感染症予防のための各種マスクの着用が熱中症リスクおよび温熱的快適性に及ぼす影響

〇田村 沙織1、田村 日向子1、薩本 弥生1、大矢 幸江2、田中 英登1 (1. 横浜国立大、2. 昭和学院短大)
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キーワード:

感染症予防用マスク、温熱的快適性、熱中症

目的 感染症予防対策として使用されているマスクについて、暑熱環境下での運動時のマスク着用による心理および生理的影響を検証し、熱中症リスクと快適性の評価を行った。
方法 各種マスクの素材物性評価およびデザイン要素も踏まえた性能評価から3種を選び、人工気候室での被検者実験により、暑熱環境下での中程度運動時におけるマスクの違いが人体生理に与える影響を経時的に捉えた。
結果 性能評価の結果、感染症予防と快適性の観点から、ナノファイバー不織布マスクがウレタンや医療用に比し、望ましいことが明らかとなった。中程度運動時におけるマスク内への影響として、マスク内温度は医療用>ウレタン>不織布の順で高値となり、一部有意差がみられた。蒸発熱伝達率ではウレタンが有意に高値を示し、物性評価と同様の傾向を示す結果となった。全身への影響として、平均皮膚温の上昇度が医療用で高値となるも、有意差はなかった。耳内温では、いずれも熱中症の重症度に値する基準値を超えることはなく、重大な熱中症を引き起こすリスクは小さいことが明らかとなった。主観申告からは総合的に医療用の不快感が強い結果となり、特に息苦しさで有意差がみられた。以上の結果から、マスク着用による身体への生理的な影響は顔面付近の局所的なものに限定された。フィット性の高いマスクの運動後の濡れによる不快感の増大が危惧されることを除けば、総合的に不織布が望ましいことが示唆された。