講演情報

[2L-01]1920年代における日仏交流からみたファッションプレート (1)複製芸術としてのポショワールと合羽摺

〇西川 良子1、井上 裕之1、徳山 孝子1 (1. 神戸松蔭女子学院大)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

ジョルジュ・バルビエ、ジャン・ソーデ、アール・デコ

「目的」
1908年にクチュリエのポール・ポワレがポショワールという手彩色複製法のイラストレーションによるファッションアルバムを出版して以来、この複製法はフランスのファッション誌において人気を博した。ジョルジュ・バルビエはアール・デコ期に多くの作品を輩出したイラストレーターであるが、ファッションプレートという誌上で頭角を現した背景には、ポショワールの発展に尽力した摺師のジャン・ソーデの功績が大きい。本研究では、現存するバルビエやソーデの資料や文献をもとに、彼らのポショワールへの含意を理解することを試みた。
「方法」
1925年にソーデが執筆したポショワールに関する書籍である『Traité d'Enluminure d'Art au Pochoir』を紐解き、それを受けてバルビエが1928年に美術工芸専門誌「Arts et Métiers Graphiques Paris 3」に寄稿した記事である「Pochoir」からバルビエの執筆意図を探った。
「結果」
バルビエは、記事中にポショワール技法と類似した合羽摺の画集である北尾雪坑斎の『彩色画選』について言及しているが、この画集には絵師と摺師、版元の組織の関係性が明記されていた。これは、ポショワールとの技術的類似点を指摘しただけではなく、ポショワールのクオリティと人材を維持するための組織の重要性を提示するためでもあったことが読み取れた。