講演情報

[2L-04]1950年代から1970年代前半の衣生活における幼児の服飾―読売新聞「洋裁科」・「火曜洋裁」・「よみうり洋裁」、朝日新聞「水曜洋裁店」から―

〇沖本 清美1、大塚 有里2 (1. 東京造形大、2. 東京家政大)
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キーワード:

家庭洋裁、幼児の服飾、新聞記事

【目的】日本で洋裁ブームが起こった1950年代以降凡そ高度経済成長期の間、新聞の洋裁連載記事は家庭で作る服飾を発信した。本研究では、小学校就学前の幼児の服飾に着目し、新聞によって広められた家庭洋裁による幼児の服飾の姿を考察する。
【方法】家庭洋裁を指南する読売新聞掲載の「洋裁科」・「火曜洋裁」・「よみうり洋裁」と、朝日新聞掲載の「水曜洋裁店」を対象として、媒体による記事の特徴を読み取り、幼児の服飾についての記事を抽出して、素材・種類・用途等を検討し代表的な記事を実制作する。
【結果】読売新聞「洋裁科」は、構成や部分縫い等の洋裁の基礎知識・技術を授けることを主眼とした連載回を含み、1952年に子供既成服の標準寸法が発表された後、幼児服では1956年に標準寸法表が製図に併記された。家庭洋裁においても既製服の寸法が参考にされたことが窺われる。
幼児の服飾の種類は、遊び着、外出着、寝衣、防寒着、レインウエア等、幼児の生活を彩る服飾が一通り掲載されており、素材を変えることで「ふだん用」にも「よそゆき」にもなる幼児服の提案が見受けられた。読売新聞には手袋や春夏物の帽子等、朝日新聞には見られない小物類が掲載されていた。また1966年以降、読売新聞「火曜洋裁」「よみうり洋裁」に編物の幼児の服飾も掲載された。
対象とした記事の内「洋裁科」のみ完成写真の掲載が無いため、実制作により作品のシルエットを窺い知ることができた。