講演情報

[3G-03]和裁における「縫い目」の評価指標の解明

〇金子 真希1、潮田 ひとみ1 (1. 東京家政大)
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キーワード:

和裁技術、なみ縫い、官能評価、和裁技能士

目的 現在の小学校・中学校・高等学校の家庭科の時間は少なく,学ぶ内容も多岐にわたるため,裁縫を学ぶ時間は少ない.和裁の技術の伝え方や評価基準を,和裁の技術が未熟な者にも示すことができれば,和裁技術の継承や家庭科教員養成,被服教育に活かすことができると考えた.そこで,和裁の基礎技術である,なみ縫いの評価について分析をおこない,和裁の到達目標とするきれいな「縫い目」の評価指標を見つけることを目的とした.
方法 和裁技能士および和裁を学んだ大学4年生を被験者として,綿布・絹布それぞれ縫い目や糸こきの異なる10種類の縫い目サンプルを用いて官能評価を行った.被検者には,3つの内容を評価させた.(1)試料を見る・触るなど自由に縫い目の観察させて1位から10位までの順位をつけさせた.(2)合格と不合格の境目を決めさせた.(3)合格または不合格とした理由の3点である.以上の調査から和裁技能士と大学生が判定する良い縫い目と悪い縫い目の捉え方の違いを分析した.
結果 順位法を用いて順位相関係数を算出した.針目のばらつきや縫い目の曲がりについては,学生の評価順位も和裁技能士の評価順位も高い一致係数を示した.糸こきの評価には違いが見られた.学生は糸こきの違いを見分けることが難しく,糸の緩いものは不合格としていたが,和裁技能士は糸の緩いものは合格とし、糸のきついものを不合格と判定する傾向を示した.