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[3H-01]茜染色における染色絹布の濃色化・色相・堅ろう度に及ぼす重ね媒染時のpHの影響

〇牟田 綠1、塚崎 舞2、塩原 みゆき2、牛腸 ヒロミ2 (1. 東京家政大、2. 実践女子大)
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キーワード:

茜、染色、pH、色彩、染色堅ろう度

【目的】前報の結果を踏まえ、ここではインド茜・西洋茜の絹布重ね媒染染色において,染色温度・時間・染色時pH・重ね媒染時間を一定にして,重ね媒染時のpH・後媒染剤の効果を検討し,染色布の色の濃さや色相や堅ろう度に及ぼす影響をk/s値,L*a*b*値,⊿E値により評価した.
【方法】絹14匁羽二重は0.1mol/Lの硫酸カリウムアルミニウム液で24時間先媒染し,軽く水洗いした後,染色温度25℃,染色時間48時間,pH9の一定条件で茜染色をし,重ね媒染時間30分で重ね媒染時の㏗を7~13に調整し,0.1mol/Lの酢酸カルシウム水溶液で後媒染し,硫酸カリウムアルミニウム/酢酸カルシウム重ね媒染を行った. 後媒染液に複数のカルシウム塩を使い,塩の効果も検討した。
【結果】上記条件で重ね媒染したインド茜染色布のk/s曲線は510nmに極大値を持ち,絹布は赤濃色に染まった. 重ね媒染時のpHを7~13に変化させるとpHが大きくなるほどk/s値は大きくなり、赤味が強くなった。西洋茜染色絹布のk/s値pHが7~11までは最大吸収波長510nm以外に410nmに極大が表れた.pH12~13になると410nmの吸収は消失した.重ね媒染時のpHはインド茜染色絹布では色の濃さにだけ影響していたが,西洋茜染色絹布では色の濃さだけではなく色相の違いにも影響していた.L*a*b*値,⊿E値にも重ね媒染時のpHの影響が表れた.